「斎藤知事と片山副知事の指示に基づき総務部長の正当な業務として行なった」
県と第三者委によると、井ノ本氏は当初委員会調査に漏えいを否認し、委員会はこの言い分を盛った報告書を1月に県に提出した。しかし井ノ本氏はその後、2月14日付で県人事課に「弁明書」を提出したほか人事課の聴取に応じるなどの形で、供述を大きく変えた。
井ノ本氏の新たな供述は、
「昨年4月中旬から下旬に3人の県議に会いAさんの私的情報の概要を口頭で説明した。印刷されたファイルを持参したことはない」
「斎藤知事と片山副知事の指示に基づき総務部長の正当な業務として行なった。知事の指示があった場には小橋浩一理事(当時)も同席していた。その指示を片山氏に伝えると『そらそうやな。必要やな』という発言があった」
「Aさんの私的情報は“秘密”として保護するに値せず、伝えたことは懲戒事由にはならない」
という内容だとしている。
これを受け第三者委は斎藤知事と小橋浩一元理事を改めて事情聴取。斎藤知事は「パソコンに私的情報があったとの報告はあったと思うが、その処理に関して何か指示をしたことはない。井ノ本氏は総合調整の窓口である総務部長として、独自の判断で議会側との情報共有をしたと思う」と述べ、指示したことを否認した。
だが小橋元理事は同委の聴取に対し、「私的情報があったことも含め、根回しというか議会の執行部に知らせておいたらいいんじゃないかという趣旨と理解できる知事からの発言があった。その指示があったことを聞いた片山元副知事は『そらそうやな。必要やな』と発言した」と証言。
片山氏も「知事が井ノ本氏に情報共有をしておくようにとの指示をしたと聞いたので特に反対もせず、井ノ本氏に“根回し”をするよう指示した」と話し、井ノ本氏の主張を裏打ちした。
こうしたことから第三者委は、斎藤と片山副知事の指示があった可能性が高いと結論づけた。