人見知りならコバンザメ作戦
ただ、どうにも人見知りだという人は……。
たとえば俺の知り合いに、誰とでも仲良くなれる人がいる。
そいつはすぐ友達を作るのだけど、俺はこいつのおかげで望む望まざるに関係なく、いつも巻き込まれて友達にならされる。「今度○○さんとゴルフを一緒にやりましょう!」と、知らない間にラウンドが組まれていることもある。
そういうときの俺は、メンバーの素性をチェックして「それなら会ってみよう」と思う……なんてことはまずなくて、気づけば強制的に会わされている。でもそうしているといつの間にかそのメンバーと、そいつがいなくても普通に会うようになっている。「知り合いの知り合いが友達になる」パターンだ。
こういう人がいてくれると自然と友達ができるから、人見知りな人はまずこの「コバンザメ作戦」で増やすのもいいかもしれない。
棺桶を持ってくれる友達はいるか?
「友達がいない」なんて言いながら「人に会うのは苦手」なんて言っていると、新しい友達は一生できない。
新しい友達がほしいのにいないとしたら、その原因は自分にある。
友達は大人になってからでも案外できる。だから友達が欲しければまずは自分から動くことだ。
……なんて偉そうに書いているけど、俺も若いときは人見知りで、自分から友達になるなんてことはありえなかった。
俺の場合、若いときは周りにいまよりものすごい数の人たちがいて、それは毎日「満員電車」に乗ってるみたいな感覚で「頼むからひとりにしてくれ」って思っていたのもあるけれど、いまになったら人見知りだなんて言うもんじゃないと思っている。
なぜなら還暦にもなって「人見知りです」だなんて言っていたら、誰も俺の棺桶を持ってくれないことに気づいたからだ。
だから俺は3年前から「人見知りじゃない」ことになっている。
この歳になっても新しい友達はできる。
それは俺が保証する。
ただ友達ができるかどうかは自分次第。
棺桶問題もあるけれど、友達は多い方がやっぱり楽しい。
それもこの歳になってわかったことだ。
文/奥田民生