なぜ高速バスのキャンセル料は異様に安いのか
「4月にXで注意喚起を行ない、たくさんの反応をいただきましたが、現在も連日のように『相席ブロック』は発生しております」(JRバス関東・広報担当、以下同)
Xの反応の中にはJR関東バスに対して、注意を呼びかける前に、まずは安すぎるキャンセル料を変えなければどうにもならないと指摘する声も多かった。
「投稿後、SNS上でさまざまなご意見をいただきました。それらの声はすべて目を通しております。いただいた意見も参考にして、キャンセル料については今後、値段の変更も検討していきたいと思っております」
ただ気になるのは、そもそもなぜ高速バスのキャンセル料がこれほどまでに安いのかという点だ。たとえばホテルでは、当日キャンセルの場合は宿泊料の50〜100%が請求されるのが一般的である。
ゴルフ場でも7日前〜当日キャンセルでは1組あたり数千円〜1万円程度のキャンセル料が発生するケースが多い。さらにレストランにおいても、コース料理を予約していた場合は当日キャンセルで全額を請求されることも珍しくない。
そうした中で、高速バスは格安設定。しかも出発直前までキャンセル可能という柔軟すぎる運用だ。
「弊社でも調べてみたのですが、現在の料金体系は昔から約款などで定められているものであり、価格の根拠は“そう決まっている”としか申し上げられないのが現状です」
こうした「相席ブロック」問題を背景に、キャンセル料を見直す動きも出始めている。
西日本鉄道が運行する高速バス「はかた号」では、2024年12月20日からキャンセル料を段階的に大幅に引き上げた。従来は乗車当日でも110円だったが、11日前から20%、8日前から30%、前日以降は50%に設定している。
一部の心ない利用者によって、長らく維持されてきた柔軟なキャンセル制度が見直しを迫られている。安く、気軽に使える、そんな“お客さま想い”の仕組みが、悪用によって変えざるを得ないとすれば、それはあまりにも残念なことだ。
取材・文/集英社オンライン編集部