「日本酒密造計画!!の巻」(ジャンプ・コミックス94巻収録)

今回は、両さんが市場にダブついているブレンド米を使って日本酒を醸造し、金儲けに邁進するお話をお届けする。

本作が描かれたのは1995年。市場にダブついているブレンド米とは、前年の1994年の米騒動を受けてのものだ。

1994年に日本は冷夏の影響で記録的な米不足となり、タイ米を緊急輸入したり、米の奪い合いが発生したり、売り惜しみや抱き合わせ商法をする業者が現れたり……と、なんだか今の日本と似た状況だった。

もっとも、翌年にはすっかり騒動が収まっていたので、今よりよっぽどマシかもしれない。

この騒動を、笑いを交えながらも鋭く批評した「1994年米騒動!の巻」(ジャンプ・コミックス第89巻収録)は、今だからこそ読んでおきたい一編である。

「1994年米騒動!の巻」より。米屋に詰め寄る人々は、このあと警察の責任だと両さんを責めはじめる。現代だったら身勝手な正義を振りかざしSNSに書き込んで、店を炎上させていただろう
「1994年米騒動!の巻」より。米屋に詰め寄る人々は、このあと警察の責任だと両さんを責めはじめる。現代だったら身勝手な正義を振りかざしSNSに書き込んで、店を炎上させていただろう

本作で両さんが行う日本酒作りは、いうまでもなく違法。そもそも酒を作るには酒類製造免許が必要で、両さんの行為は酒税の確保と公衆衛生の維持を目的とした酒税法に思いっきり抵触している。なにしろ、自宅で自分が飲むため焼酎に梅を漬け込む行為ですら、自家醸造に相当する可能性があるのだ。

ちなみに、酒の匂いを嗅ぎつけた中川に密造がバレそうになったとき、両さんは『こち亀』史上、一、二を争うほど有名な言い訳を口にするのだが、それははたしてどんな……。ぜひ楽しみにしてほしい。

それでは次のページから、両さんの大胆不敵すぎる日本酒密造ビジネスの顛末を、たっぷりと味わってください!!