自分の見解をアピールする記者が目立ったカオス会見
そして時刻は28日午前零時に。嘉納、港両氏はもはや会長と社長でもなくなったが、それを理由に壇上から降りるわけでもなく、質疑応答は続く。
希望者にはすべて質問の機会を与えるとの方針は午前1時35分、ついに貫徹され、一回も質問をしていない希望者の挙手はなくなった。
この時までにマイクを握った記者は少なくとも92人。ここで司会者は、「もうそろそろ10時間になりますので、他に質問のある方はメールででも」と提案を試みる。
しかし約9時間前に最初の質問で司会者を怒鳴ったフリーランスの男性記者がすかさず「ここまで待ったんだから質問させてください」と制し、司会者もやむなく2回目の質問に同意。そこからさらに12人がマイクを持ち、質問者は少なくとも延べで104人に達した。
午前2時22分、最後の質問者が中居氏への対応の詳細を質すと、それまでどんな質問者にも聞き返さなかった港氏が初めて「すいません。もう一度お願いします」と質問内容を確認。集中力が限界にきていることをうかがわせた。
その2分後の午前2時24分、ついに質問が尽き、司会者が「会見を終了させていただきます」と宣言。壇上の5人はひとりずつ一礼し、大量のフラッシュを浴びながら大会見場を後にした。
会見終了時まで会場にいたメディアは目算で150人弱と、開始時の3分の1近くに減っていた。参加者の一人は「フジは社長と会長の引責辞任を発表しましたが、核心である中居氏とA子さんの間に起きた問題や両者の主張、新たに分かったことはほとんどありませんでした」と感想を述べた。
また別の編集者は、「まったく今回の事案を勉強してこず本質をわかっていない記者や、自分の見解をアピールする記者が目立った。結果として記者会見の考え方や、今後は参加する記者の線引きが求められることでしょう。登壇者は最後まで逃げずに座り続けたのに、聞くことを聞いたらさっさと帰ってしまう取材側にもマナーが問われるのでは?」と疲れ切った顔を見せた。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
写真/村上庄吾