どこまで「コンビニ離れ」が進むか
ローソンでは「盛りすぎチャレンジ」と題して、商品の値段はそのままで内容量を増やすキャンペーンを実施、ファミリーマートでも「お値段そのままデカくてうまい!! たぶん40%増量作戦」という、類似のキャンペーンが行われている。
こうした他社の戦略に影響を受けての「うれしい値!」だったが、その矢先での「値上げ」である。
「例えば『塩むすび』など、『うれしい値!』対象商品が値上げすることもあり、一部の消費者からは『これじゃあ、うれしくない値!だよ』といったコメントさえ出ています。
もちろん、コメの価格が上昇することに伴う値上げのため、仕方のない部分は大きい。ですが、『結局、値下げしたいのか、値上げしたいのか、よくわからない』と消費者から思われてしまっても仕方ないでしょう。
さらに、セブンは昨年の減益報道の際、弁当の『上げ底』疑惑などが浮上し、多くのメディアによくない形で取り上げられてしまいました。同社に対する消費者の目線は厳しくなっていると言わざるを得ません。
今回の報道では『値上げ』だけでなく、『規格の見直し』も同時に公表されています。『規格の見直し』とは、値段はそのままで具材の量や器のサイズを変更することを指します。
消費者の反応を見ていると『規格の見直しだといって、本当は容器の底を上げるんじゃないか』といった誤解がすでに生まれています。
今回の値上げは、他社に比べてセブンへの不信感をさらに高める可能性が高いのではないでしょうか」
加えて危惧されるのは、そもそもの「コンビニ離れ」だ。
「現在はミニスーパーの『まいばすけっと』が都心を中心に大きく出店を伸ばしています。また、全国的にはディスカウントスーパーの『オーケー』が関西初出店を果たしたり、同じく激安食品スーパーとして知られる『ロピア』も出店を拡大しています。
こうしたスーパーで売られているおにぎりは多くの場合、コンビニよりも安い。まいばすけっとには税込99円のおにぎりがありますし、オーケーに至っては税込70円のものもある。コンビニのほぼ半額です。
そもそも、おにぎりというシンプルな商品だけでみれば、品質にそこまで差が出ません。であれば、コンビニでおにぎりを買っていた層がスーパーに流れていくシナリオも考えられるでしょう。現在、『中食』需要の増加に伴って食品スーパーはどんどんお弁当や惣菜に力を入れています。そんな流れの中では、全国的に『コンビニ離れ』が起きてもおかしくはありません」
消費者の価格に対するセンサーは敏感かつシビアだ。今回の値上げがさらなる「セブン離れ」につながらないことを祈るばかりだが……。
取材・文・撮影/谷頭和希