「列車よいとこの巻」(ジャンプ・コミックス54巻収録)
今回は、両さんが鉄道会社の赤字解消のため、画期的な新規事業の数々を展開するお話をお届けする。
本作が描かれたのは、1987年の3月。翌4月に、日本国有鉄道(国鉄)が6つの地域別「旅客鉄道会社」とひとつの「貨物鉄道会社」などに分割・民営化される……というタイミングでの発表だった。
これは、親方日の丸の巨大組織だった国鉄の、赤字経営形態の抜本的な改革を狙ったもので、ものすごく大おおざっぱにいうと「自分で工夫・努力して黒字化しなさいね」という申し渡しのようなものだ。経営の効率化をはかり、国や地方の持ち出しを減らす一方で、公共性の喪失や不採算地域で鉄道経営の破綻などのリスクも生じる施策だった。
そして、中川が買った鉄道で両さんが提案する「鉄道で稼ぐ方法」とは? これは読んでのお楽しみとしたいが、それらの多くは、鉄道各社が近年「駅ナカ」と称して促進している事業そのもの。早い話が、鉄道利用者が送る日常のあらゆる需要に応えて、徹底的に利便性をはかり、そのお財布をガッチリと握る作戦なのだ。
この発想が国鉄時代にもあれば、もう少し赤字を減らすことができたのかもしれない……?
それでは次のページから、両さんが辣腕を振るう鉄道再生法をお楽しみください!!