「梅毒に罹患した客」「婚姻届にサインして来店する客」
また、中には性感染症に罹患しているにもかかわらず、遊びに来る客もいると、Bさんは言う。
「いま現在、梅毒が全国で流行っていますが、近年の吉原で梅毒が最初に猛威を振るったのは2017年頃だと記憶しています。
その当時、梅毒に罹患されたお客様が来店されて、私の知り合いの女の子が罹ってしまったことがあります」
さらに、自由恋愛のもと、体の関係を持つサービスをする店ということもあり、客がストーカー化することも少なくないそうだ。
「あるお客様はお店にサインした婚姻届を持ってきました。その後、私の後をつけて自宅を特定して郵便物を漁った挙句、電話をかけてきました。
さすがにその方は出禁にしましたが、2023年5月に起きた、高級店で女性従業員がストーカー化した男性客に刺されて亡くなった事件の一歩手前のようなことは、吉原で働く子なら珍しい経験ではありません。
体を張って働いているのは、本当に昔も今も変わらないと思います」
現在、三ノ輪の浄閑寺には吉原で命を落とした遊女たちの慰霊のための「新吉原総霊塔」が建っている。
吉原で働く女性が健やかに過ごせることを願うばかりである。
取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班