「撃滅!!現代の化石の巻」(ジャンプ・コミックス51巻収録)

今回は、昭和後期から末期の昭和40~60年代(1960~1980年代)にかけて社会問題化した暴走族を題材にしたお話をお届けする。

暴走族とは、違法改造した自動車やオートバイを集団で乗り回して危険走行を行う……つまりは暴走行為をする集団を指す。

近年では珍走団、旧車會(きゅうしゃかい)などと呼ばれて絶滅危惧種認定されているが、1970年代後半では大きな社会問題のひとつだった。

暴走族誕生のそもそものきっかけは、やはり1960年代の日本におけるモーターリゼーションだろう。高度成長期に庶民でも自家用車が手に入れるようになり、若者もオートバイに、やがて自動車に乗るようになっていった。それを趣味や遊びにできる時代が訪れたからこそ、暴走族は生まれたのだ。

彼らには特徴的ないくつかの文化がある。

まずはそのファッション。暴走族はニュートラ(ニュートラディッショナル)、ハマトラ(横浜界隈で流行したトラディッショナル)といったファッションに身を固めていたが、次第に右翼団体が着ていた特攻服に影響を受けたファッションへと移り変わっていった。

次に挙げると、「夜露死苦(よろしく)」や、「仏恥義理(ぶっちぎり)」といった、漢字での当て字表現。

そしてもっとも大きな特徴は、独特すぎる美学に基づいた妙な車体の改造、デコレーションだ。車体を低く落としたシャコタン(=車高短)、排気マフラーを車体後方ではなく上方に大きく伸ばした竹槍、フロントスポイラーを前方に向けて巨大化させた出っ歯……は、ひと目でわかる暴走族のアイコンだ。なお、当然ながらそれらは走行性能の上昇にはまったく寄与していない。

本作が描かれたのは、昭和61年。当時は道交法改正による取締の強化やイケている若者像の変化などにより、暴走族は既に時代遅れの存在になっていった。本作で笑いの対象になっているのは、そういった事情ゆえだ。

それでは次のページから、暴走族と両さんたち警察との激闘をお楽しみください!!