「レモンの逃亡の巻」(ジャンプ・コミックス193巻収録)
今回は、超神田寿司を営む擬宝珠(ぎぼし)家の次女、レモンの誕生日と精神的な成長をめぐる、ギャグ漫画作品らしからぬ異色の一作をお届けする。
レモンは幼稚園児ながら大人びた性格で、趣味は時代劇鑑賞や将棋。両さんと出会って以降、少しずつ子供らしさや年相応の成長を見せるようになっていった。
そんなレモンが、ごく普通の女の子との出会いによって少し成長する様を描いている本作は、静かで、しかし読後に心のどこかが温かくなるようなお話だ。ときには、爆笑作の合間にこんな一作を読んでみるのもいいものだと思える。
ちなみに本作の舞台となる集合住宅「団地」は、日本においては戦後の1955年から建設がはじまり、水洗のトイレやダイニングキッチン、内風呂、ベランダなどを備え、高度経済成長期における新しい住環境、生活スタイルのシンボルとなっていった。現代ではその多くは老朽化し、立て替えが進んでいる。
なお本作を読んでいただくとわかるが、団地は5階建てまでの高さであることが多く、2階以上に行くには階段を使用するケースが多い。
これは、6階建て以上の集合住宅にはエレベーターの設置義務があったためだ。コストを抑えるために、5階建てになっていたわけだ。
それでは次のページから、小さなレモンの小さな成長を描いたお話をお楽しみください!!