試行錯誤の末「両手・両足・声と余すことなく全身使う」RTAに

――さきほど実際の操作風景を見せてもらいましたが……これは何がどうなっているんですか?

まずはコントローラー。これは2つのコントローラーをくっつけて、1つのコントローラーとして改造しています。

2つのゲームを同時に攻略するにあたって始めたのが、とにもかくにも、まずは2台同時操作の実現ですよね。最初は両手+両足を使っての操作を考えていたのですが、ポケモン赤緑は十字キーとA・B・START・SELECTの4つのボタンさえ押せればいいので、片手の指で足りるわけです。十字キーは親指、そのほかのボタンは人差し指から小指がそれぞれ担当します。

コントローラーの自作も検討しましたが、結局は既製品の組み合わせがいいところに落ち着きました。できあがったのがこちらです。

テープで接着された2個一対の両面コントローラー。2個はずっといっしょ。なお、操作性を考慮して右手と左手で微妙に接着角度を変えている。
テープで接着された2個一対の両面コントローラー。2個はずっといっしょ。なお、操作性を考慮して右手と左手で微妙に接着角度を変えている。

親指で押す十字キーと、ほかの指で押すボタンがそれぞれ別の面に配置されているので、手に持ったときに無理なく操作できるんです。

秋葉原の電気街で購入したパーツなどを紙粘土で固定したプロトタイプコントローラー。部品の確保や誤作動などの問題があり、お蔵入りとなった。
秋葉原の電気街で購入したパーツなどを紙粘土で固定したプロトタイプコントローラー。部品の確保や誤作動などの問題があり、お蔵入りとなった。

 足下のペダルは乱数管理用です。簡単に説明すると、ポケモンのランダム要素には一定の周期があって、今、その周期のどの辺りかわかれば、狙ったポケモンと出会いやすくなるんです。

パソコン画面に周期表を映しだしているのですが、別にこれはゲームと連動しているわけではありません。自分で周期のストップ&ゴー、進行方向などを調整する必要があります。でも、手は塞がっている。じゃあ足しかない、ということでフットペダルを採用しました。

乱数の周期を可視化して表示している画面。プレイ中はくるくる円が回るが、それの意味するところは、取材現場にいた人間のうちずのう氏しか知らない。
乱数の周期を可視化して表示している画面。プレイ中はくるくる円が回るが、それの意味するところは、取材現場にいた人間のうちずのう氏しか知らない。

――そのマイクは?

ポケモン管理ツールの音声入力用です。現在捕まえているポケモンはゲーム内で図鑑を開けば確認できるのですが、それはタイムロスにつながります。暗記はミスの温床なので、捕まえたポケモンを管理するツールを使っています。元々はマウスで操作していて、例えばピカチュウを捕まえたら、ピカチュウのアイコンをクリックして登録するんです。

でも、手も足も塞がっている。じゃあ声しかない。ということで音声入力を採用しました。

「ピカチュウ」と発生すると、ピカチュウのアイコン部分が緑色になる。
「ピカチュウ」と発生すると、ピカチュウのアイコン部分が緑色になる。

――とんでもないマルチタスクですね

イベントなどで僕のRTAを見た人からは「ポケモン赤を操作している人、ポケモン緑を操作している人、解説している人の3人いると思ってた」なんてよく言われます(笑)。