7人に1人が被害に遭っている

デジタル性暴力の発生数は近年、右肩上がりだといわれますが、実態はどうでしょうか。まず世界の傾向ですが、デジタル性被害は過去30年間にわたって継続的に増加しており、コロナ禍で急増したという報告があります*1

また、オンラインで大規模調査を行い、2022年に結果を学術誌で発表した、アメリカの統計があります。18歳から28歳までの成人2639人を対象に、子ども時代(18歳未満)をふり返って、オンラインを利用した性被害を経験したかどうかを調査したものです。

調査対象の性別は女性49.8%、男性48.5%、そのほか1.8%でした。被害の内容とその割合は、以下のとおりでした(複数回答あり*2)。

・オンラインの小児性被害15.6%
・画像関連の性被害11%
・自作した児童性的画像11%
・セクストーション3.5%
・グルーミング5.4%
・リベンジポルノ3.1%
・オンライン商業的性的搾取1.7%

総合すると、7人に1人が子ども時代にデジタル性暴力を、そして9人に1人が画像に関する性被害を受けていました。これは学校の1クラス(35人の場合)に被害経験のある生徒が4〜5人いるという計算になるので、「少ない」と見ることはできないと思います。被害に遭った時期で最も多かったのは13〜17歳。中学生や高校生にあたる年齢です。

写真はイメージです
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加害者の側に着目した調査でも、子どものデジタル性被害は「よくある」とわかります。男子大学生の79%が少なくとも1回は盗撮行為をしたことがあり、盗撮罪で有罪判決を受けた成人17人のうち3人が、特に子どもを狙っていたと報告しています*3

「7人に1人の子どもがデジタル性被害の経験あり」と紹介したアメリカの統計では、加害者がどのように子どもにアプローチするのかまではわかりませんが、世界では画期的な〝実験〞が行われています。