「翻堕羅(ほんだら)道場新年会の巻」(ジャンプ・コミックス68巻収録)
今回は、部長邸での新年会での栄養補給をあてにしていた両さんが、マリアの父が総帥を務める拳法の教練場で開かれる新年会に赴くお話をお届けする。
マリアのフルネームは麻里愛(あさと・あい)。彼女はかつて生物学的には男性で、しかも拳法家の息子にして無敗を誇るキックボクサーだった。
そしてその父・麻里晩(あさと・ばん)は植木流翻堕羅(ほんだら)拳法を率いる拳法家だ。なお本作には、マリアの双子の妹・マリリンこと麻里禀(マリリン)も登場するぞ。
本作中、翻堕羅拳教練場で供された猪鍋には、現地で採れた山菜が入っているとのことだが、おそらくは猪の肉も現地調達なのだろう。拳法に励む猛者たちが集う場にふさわしい、実に野性味あふれる料理だが、かつての日本において、猪肉は比較的ポピュラーな獣肉のひとつだった。
日本では戦国時代に南蛮人が訪れたことにより獣肉食が注目されたが、江戸時代には殺生を嫌う文化から、表だっての獣肉は憚られた。だが、薬を食うと称しての肉食は、一部の人々の間では続けられていた。馬肉→さくら、猪肉→ぼたん、山鯨、鹿肉→紅葉、鶏肉→柏……といった隠語を使い、ちゃっかりと肉を平らげていたのだ。
それでは次のページから、両さんと晩が繰り広げる、世にも下品かつ低レベルの鍋争奪戦をお楽しみください!!