「出直してきてください」「斎藤さんをここに呼んできてくださいよ」

他候補を圧倒した斎藤陣営のSNS戦略を象徴するのが、たびたびトレンド入りしたハッシュタグ「♯さいとう元知事がんばれ」だ。

折田氏はこのハッシュタグについてnoteで、斎藤氏の「元彦」と元知事を掛け合わせて創ったと説明しており、「ご本人(斎藤氏)も気に入っていました!」と自身のアイデアであることを誇示している。

このハッシュタグの考案を奥見氏は「10月の早い段階で(陣営内の)数人で決められた。その中に社長(折田氏)も含まれているということです」と説明し、折田氏の貢献度は特別高くないと印象づけようとした。

だが、9月29日に斎藤氏がmerchuを訪問した際の写真では、折田氏が行ったプレゼンの資料に、このハッシュタグの原型とみられる「♯斎藤元知事●●(判読できず)」の文字が見える。noteで主張する通り、折田氏は陣営のSNS戦略の司令塔だった可能性がありそうだ。

merchuで斎藤氏に行なわれたプレゼンの資料(折田氏noteの写真を拡大したもの)」
merchuで斎藤氏に行なわれたプレゼンの資料(折田氏noteの写真を拡大したもの)」

もっとも、一般の人が自発的に応援するイメージを持たせた「がんばれ」という言葉が、折田氏であれ他の人物であれ、斎藤氏の広報を担った一角から打ち出されていたことに変わりはない。

この事実を斎藤氏の代理人が認めたことに、ある記者は「大変な驚きを受けた」と述べた。

疑惑の解明に近づかない会見で出た本筋とは別の驚きは他にもある。ハッシュタグの考案過程をフリージャーナリスト・横田一氏が質す中で、奥見氏が問題のnoteの“原文”を見ていないことが発覚したのだ。

「11月20日に公開された直後から、noteは公選法違反行為が書いてあるとSNSで話題になりました。そのためか、遅くとも翌21日昼ごろまでに違法性を示す表現や資料が次々と削除、改変され、内容は大きく変わっています」(地元記者)

そのnote問題の火消しを斎藤氏が奥見氏に依頼したのはさらに翌日の22日だ。

「私がこの話を聞いたのが先週金曜日(22日)ですので、その時に直ちに、(noteを)プリントアウトしてますので…。例えば改変ないし削除があったとして、それがいつ行なわれたのか全く把握しておりません」(奥見氏)

この言葉を聞いた横田氏は「そこの改変が1番重要なんですよ。公正法違反の疑いが強いから削除してるわけですよ。そこをチェックしないでこの会見に臨むなんて。出直してきてください。斎藤さんをここに呼んできてくださいよ」と詰め寄り、会見は大荒れになった。

「客観的な事実として公職選挙法等の違反があったかどうか」を確認することが重要だと反論した奥見氏は、今後も必要があれば会見し説明を続ける用意があると表明した。

だが、最も必要なのは、斎藤氏自身が9月29日に折田氏からどのようなプレゼンを受けたのかを含め、すべてを自らの口で語ることだろう。

11月27日、記者会見する斎藤元彦知事 (撮影/集英社オンライン)
11月27日、記者会見する斎藤元彦知事 (撮影/集英社オンライン)
すべての画像を見る

※「集英社オンライン」では、今回の記事に関連した情報やご意見を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。

メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

X(旧Twitter)
@shuon_news

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班