「おさるの電車物語の巻」(ジャンプ・コミックス157巻収録)

今回は、上野動物園に勤める女性がマドンナとして登場するお話をお届けする。

12月3日からお届けしている「希望の煙突の巻」(ジャンプ・コミックス141巻収録)に続いて、勘吉少年はまたもや大人の女性への慕情を募らせてる……ずいぶんとマセた子どもだったようだ。

もっとも彼女にとって両さんはあくまでも「よく遊びに来てくれるお得意さんの男の子」で、彼女の関心と愛情は、もっぱら担当する猿たちに向けられていたのだった……。

本作で登場する両さんのマドンナ、奥村咲牙(おくむら・さき)は、上野動物園の「おさるの電車」の係員。「おさるの電車」は、戦後間もない1948年から1974年にかけて、上野動物園に実在していた遊戯施設だ。バッテリー駆動の小さな電気機関車を猿が操作し、客車を牽引して園内の軌道上を走行するといったものだった。

なお秋本治先生は本作の執筆にあたって、上野動物園への取材を行うとともに、動物園から数々の資料提供を受けている。

ちなみに本作は「週刊少年ジャンプ」2007年16号に、連載1500回突破記念作として発表されたもの。12月2日からお届けしている連載1000回記念作「古都の走馬灯の巻」(ジャンプ・コミックス102巻収録)以降、どうやらいつの間にか「記念回には両さんの少年時代を描く」ようになっていったようだ。

それでは次のページから、ちょっとビターなテイストで描かれた、両さんの恋路の行方をお楽しみください。