「バカ!」外国人観光客から発せられる罵声
聞くと、黒幕は設置されて早々に穴があけられ、そこから撮影をする外国人観光客が相次いだという。おそらく穴があけられたのは、警備員がいない時間帯。
穴を開けている現場を見たら注意をすることができるが、すでに開いている穴から撮影する分には何も言うことはできない。
以後、今度は穴が開けづらい頑丈な茶色い幕を張った時期もあったが、9月の台風の時期になくなって以来、そのままで、今後再び幕を張るかは検討中だという。
5月に幕を張った際は、テレビなどでも大々的に報じられ、「感じの悪い対策だ」「もっと警備員を増やせばどうにかなるだろう」「せっかく来てくれた観光客が気の毒だ」などと、幕を張った自治体を批判する声も多く見られた。
しかし、幕がなくなった現在はどうか。取材していたわずかな時間だけでも、外国人観光客が車道を横切る場面に何度も遭遇した。その都度、警備員が「No No!」などと声をあげ、信号のある交差点から渡るようによびかけていた。
注意されると素直に従う人もいる一方で、不服そうににらんでくる人など、不穏な空気が流れる瞬間もあった。案の定、注意がきっかけでトラブルになったこともあるそうだ。
「『バカ』とか『死ネ』とか『あっちいけ』とか、片言の日本語で罵声を浴びせられたこともありますね。外国人の方かと思って、英語で日本人の方に注意した際は、『俺は日本人だわ!』なんて言われたこともあります。
『日本人ならちゃんと横断歩道を渡って』と注意すると、今度は『敬語を使えよ。お前の友達じゃねえんだから。“渡ってください”だろ!』なんて言われましたね」
外国人観光客の問題だけのように思われているが、ここでは日本人観光客も同じく、マナーが酷いのだ。「日本人のマナーがこんだけ悪いんだから、外国の人のマナーが悪くてもしょうがないと思っちゃいますね」と警備員は嘆いていた。