基地の駐留経費を日本からもっとふんだくれ
さて、トランプと日本はこれからどう付き合っていくのかだが、僕にはわからない。おそらく政治も経済も外交も大混乱に陥るだろう。トランプという人は予測不能な人物だ。
私たち日本は、混乱の中で右往左往するしかないのか。アメリカのトランプと心中するしかないのか。
そうではないだろう。アメリカの動向に受け身でどうするかを考えるよりも、自分たちがどうしたいかを自立的に(従属的にではなく)見解を持つことが先決ではないのか。しかし、そういうことを日本の政治家や外交官たちがやるのは実に稀だ。
その点で日本人である筆者が考えている希望は、<対米従属から対米自立へ>の一歩がわずかであっても踏み出せるか、だ。ところが石破首相から伝わってくるのは、これまでと同様の受け身の姿勢だ。今回の選挙結果についてニューヨークタイムズ紙は、7日付の社説で「アメリカは危険な選択をした」とはっきり述べている。
具体例をたったひとつだけ挙げておけば、沖縄の在日米軍基地の駐留経費の負担増については、トランプ政権の基本方針は、基地の駐留経費を「日本からもっとふんだくれ」だ。
トランプ・石破の電話会談が行なわれたそうだ。「日米同盟をより高い次元、段階に引き上げていくことで一致」とかが官邸の発表文らしいが、本当にそういう話ができたのだろうか。
電話をしたのが日本時間の7日午前9時半ということは、アメリカ東部時間の6日午後7時半。トランプ周辺は祝勝気分で盛り上がっている最中だろう。5分程度の会話というが、通訳を入れてだと半分以下の時間になる。
双方の挨拶から入るので実質2分あったかどうか。そのなかで、日米同盟のより高い次元への引き上げ云々などという実質的な言葉が交わせたのかどうか怪しい。
そんなトップ交流より、日米両国の市民レベルの交流(核兵器廃絶運動や文化交流の積極推進)がより盛んになる方が、実質的な日米関係の「高い次元への引き上げ」につながるのではないか。
7日の朝、『DemocracyNOW!』のエイミー・グッドマンに会うことができた。彼女は落ち込んでいるどころか、トランプ時代の再到来で自分たちの役割がいよいよ増してきたことを覚悟しているようにみえた。
日本のメディアはどうなのだろう。
取材・文/金平茂紀