正月返上で150件以上を告発した男の思い
――上脇教授の告発が、捜査や派閥解消、法改正に結びつき、そして、今回の衆院選では15年ぶりに自民・公明両党で過半数を割る結果を生み出しました。告発がそんな大きなうねりになるなんて想像できましたか?
上脇博之(以下同) まず、説明しておきたいことがあります。今回の派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題は、共産党の「しんぶん赤旗」日曜版が最初にスクープしました。私が赤旗にコメントを求められたことから、追加調査を行ない、その告発に踏み切ったわけです。
調査をするなかで、ひょっとするかもしれないという思いはありましたが、ここまでの展開は想像できませんでしたね。
――もっと興奮しているのかと想像していたんですが、落ち着いてますね……。
これまで検察に対し150件超の告発をしてきていますが、そのほとんどが政治家一人ひとりの違法行為さったので、そこまで大きな問題として取り扱われることは多くはないですからね。
それに、日々、政治資金オンブズマンとして、粛々と政治資金収支報告書をチェックし、おかしな点を告発することで、政治家に法をないがしろにさせないことが主眼にあります。検察が起訴するとは限りませんから政局に与えた影響は、通常、私にとっては副次的ですね。