二足歩行が原因!?

睡眠時無呼吸症候群には主に、閉塞性睡眠時無呼吸と中枢性睡眠時無呼吸の2つタイプがある。

中枢性睡眠時無呼吸は先天的な脳疾患や脳梗塞の既往がある人に起こり、全体の数%しかいない。閉塞性睡眠時無呼吸は気道が塞がることで起こる無呼吸で、ほとんどの人がこのタイプだ。

ではなぜ気道が塞がるのか? これは人間が二足歩行になったための構造的な欠陥によるものだという。

「人間は二足歩行になることで道具を使い生態系のトップに立ちました。一方で上体が起きて顔が前を向いたことにより、喉が狭く角度も急になり、無呼吸が起こるようになりました。まさに進化の代償です。また骨格による差もあり、欧米人に比べてアジア人のほうがこの病気は多いです。

仰向けに寝て筋肉が緩むと、舌やアゴが落ち込み、喉の奥が狭くなり、気道がふさがります。アジア人のほうがアゴが小さいため、気道が狭くなりやすく、睡眠時無呼吸症候群を引き起こし易いのです」

太った人がなりやすいイメージだが、アゴが小さい人なら体型に関係なく、誰でも発症する可能性があるという。

「太ると喉や舌に脂肪がつき、気道を狭めてしまうので、睡眠時無呼吸症候群の2/3は肥満の方です。その一方でアゴが小さい人や舌が長い人も気道が狭くなるので、やせていても睡眠時無呼吸症候群に要注意です。

また子どもでも肥満や扁桃腺肥大の影響でこの病気になることがあります。成長や学習にも影響が出るので、いびきに気づいたら早く病院に受診して欲しいです」

写真はイメージです 写真/Shutterstock
写真はイメージです 写真/Shutterstock

さらに、ラクビーや柔道など普段から頸部を鍛えているアスリートにも多い疾患でもあるという。

首が太いと気道が狭くなりやすく、特に競技引退後、筋肉が脂肪に変わってしまうと要注意だ。

「女性の場合だと、更年期以降に患者が増える傾向です。睡眠時無呼吸症候群の男女比は20代では4:1で男性が多いのですが、40代から女性は増えていき、70代になると1:1となります。これは女性ホルモンのプロゲステロンの分泌が減少することによって起こると考えられています」