必死に告発者をネガキャンも…
ここに挙げられた「クーデター」「革命」というのは、斎藤知事の命(めい)を受けて告発者探しの陣頭指揮を執った片山安孝副知事(7月末に辞職)が「Aさんのパソコンの中のメールにあった」と、9月6日の百条委での証人尋問で口にした言葉だ。
だがメールは告発文書とは別の私的なもので、真偽への疑念とともに片山氏が公の場で口にしたこと自体が問題となっている。どのような文脈で出ていたのかも分からない「クーデター」という言葉があったと口にすることで、Aさんには県政を転覆させる意図があったと印象づけ、調査や処分の正当性を強調するのが斎藤、片山両氏の狙いとみられる。
そもそも、法で禁じられた告発者探しを正当化するためにこれらの言葉をもてあそぶことは順序からいっても説明がつかない。こうした言葉は、違法な調査を始めた後でパソコンから片山副知事らが見つけ出したものだからだ。
ABCのアナウンサーも、知事の暴言を「事実が逆ですよね。調査をして分かったことですよね。クーデターとか革命という文言が出る前に調査を決めている」と遮った。すると知事は「そこは、やっぱりあの文書が、私以外の(人や企業の)名誉を傷つける内容がたくさん含まれてたんで、ここは放置をすることは県としてはできない。だから、誰が作ったか、どういう意図で書かれたかを調べなければならない責任は県にあった。その対応は問題はなかったと思います」と反論。
自身の発言の問題は認めず、新たな理由を挙げるのだ。だが、告発文書の内容は多くが事実と判明しており、知事や知事以外の名誉を傷つけたという主張は説得力を失っている。
記者団からテレビ局をハシゴした理由を聞かれた斎藤知事は、出演のオファーに応じたのだと強調しながら「この間、辞職というものも選択しなかった理由も含めて聞かれたりしましたんで、そこは自分の思いというものを、そしてこれまでやってきた改革を続けたいという思いを伝えさしていただいたということで、機会を頂いたということです」と答えた。
知事を続けたい気持ちに変わりがないことは確かなようだ。兵庫県の混乱は依然収まりそうにない。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班