23年前に44名の死者を出した大火災の悲劇
歌舞伎町のガイドブックなども制作するジャーナリストの寺谷公一氏は、「歌舞伎町の大規模火災というと23年前に44名の死者を出した悲劇を思い出します」と話す。
「2001年9月1日の午前1頃に4階建てのビルで火災が発生したのですが、避難経路である階段に大量の荷物があって通れず、部屋や階段に人が折り重なるように倒れた状態で44名が亡くなりました。
これ以降、毎年9月1日には東京消防庁が各ビルの消防査察を行っていたんです。屋内階段に物が置かれて避難経路を塞いでないか、非常階段がわかりやすい状態にあるかなどが査察されていました」
この消防査察の際、毎年、必ず数件のテナントが問題を指摘されるという。寺谷氏が続ける。
「屋内階段に大量の物が放置されるといった違反行為が見つかるようです。2001年の火災では階段に置かれた多くの物が避難の障害となりました。置かれた物が燃えることで多量の煙を発生させますし、上階への延焼拡大にも繋がります。今回のビルがどうだったかはわかりませんが、火災の教訓は今後も生かされてほしい」
今回の消火活動にあたった男性消防士1人が熱中症の症状で搬送されたようだが、幸いにも火事による怪我人や死者は出なかった。ビル内にいた従業員やお客もスムーズに避難できたようだ。
23年前の悲劇がこれからも起こらないことを願いたい。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班