「お客さんを“ほったらかし”にするコンセプトではありません」

ユニークなキャンプ場名称は、甲府盆地を一望できる夜景と満点の星を眺めながらお湯に浸かれる絶景温泉として有名な「ほったらかし温泉」(1999年開設)に由来する。

同温泉の創設時から働いてきたオーナーが5年ほど前に開設したのが「ほったらかしキャンプ場」だ。近年は愛好者が「予約困難」と嘆くほど人気だっただけに、今回の火災にはショックを受けた人も多いようだ。施設責任者は火事の原因や状況について、こう語った。

消防車10台ほどが駆けつけたという(読者提供)
消防車10台ほどが駆けつけたという(読者提供)
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「たき火をきちんと消せていなかったようです。僕もキャンプ場に常駐しているのですが、午前1時ごろにお客さんから『燃えてます。消防には私が通報してます』と電話がかかってきて、現場に直行しました。燃えていたのはすすきの枯れ草で、キャンプ場の施設やテントには火は移りませんでした。

枯れ草なので一瞬、人の背丈くらいまで燃え上がったんですが、すぐに燃え尽きた感じです。テレビニュースの映像などで『山火事』のように思われたかもしれませんが、規模としてはボヤ程度で、営業も問題なく行なえるレベルの被害です。

僕も持っていったホースを使って水をかけたり、周りにいたお客さんも消火活動をしてくれて、消防車の到着前にほとんどの炎は消えていました」

ポンプ車など10台ほどで駆けつけた消防は、飛び火した残り火を丹念に消火していったという。施設責任者が続ける。

「今回、火事になったのはウッドデッキにテントを張れるエリアの付近でした。ご夫婦で来られていたお客さんで、バーベキューなのか、たき火なのかは確認していませんが、完全に消えたと思って寝床に戻ったとのことでした。

この方は反省しきりでしたが『お怪我もなかったですし、あまり気になさらないでください』と伝えました。こちらから損害賠償を求めるようなこともありません。ウチは地面の上で直火をするのは禁止なので、ギアというたき火台を使ってたき火をします。

消灯が午後10時なので、そのころには炭をばらけさせて寝床に戻り、その後24時以降に風が強くなり炭が飛び散ったと思われます。強風の中でたき火をしていたわけでもないし、マナー違反とかいうわけではありません」

たき火はたき火台でおこなわれていた(撮影/集英社オンライン)
たき火はたき火台でおこなわれていた(撮影/集英社オンライン)

「ほったらかしキャンプ場」という名称から、客の好き勝手にさせていると誤解される向きもありそうだが、そのあたりはどうなのだろう。

「オーナーが『ほったらかし温泉』の創設から関わってきたからそういう名称になっただけで、お客さんをほったらかしにするというコンセプトではありません。すべてオートサイトという車で乗り入れられる造りになっているので、みなさん、車で自分たちの道具を持ち込んで泊まっています。

70組くらいが宿泊可能で、ふだんはだいたいお客さんで埋まっているような状態です。一人客やカップル、家族連れとさまざまです。キャンプ場内にバーやカフェもあるので、1人で来るキャンパーでも他のお客さんと話したりもできます」