死後は基本的に病院から1日以内に搬送しなければならないという厳しい決まり

火葬にはどんな手続きが必要なのか。

「医師により亡くなったことが確認されると、死亡診断書が用意されます。それから役所に死亡届と火葬許可証を提出すると同時に、葬儀社に遺体安置、葬儀、火葬の依頼をします。また通夜や告別式をせず直葬を行なう場合でも、火葬までの間の遺体安置場所を用意する必要があります。

病院からは、なるべく早くご遺体を搬送するよう指示されるので、この流れは基本的に1日以内で行なわなければなりません。海外だと1週間ほど病院に安置することができるので、その間にさまざまな葬儀社を比較し、余裕を持って葬儀の準備を進めることができるのですが、日本の場合には考える間もなく、すぐに対応することが求められるため、慌ててしまう方も多くいらっしゃいます」

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先に述べた東京都の民営の火葬料が9万と驚くべき値段になりつつあるが、今後の火葬料金の変化についてはどうなっていくのだろうか。最後に武田氏に予想してもらった。

「現在、税金で火葬料金を補助されている公営でさえ、受益者負担の考えがでてきており、値上がりの傾向を見せています。やはり少子高齢化が進んでいるということもあって、全国的に自治体の財政が今後厳しくなることは予想されますので、民営だけにとどまらず、公営の火葬場の料金の値上がりも避けられないのではないでしょうか」

――火葬料金の変化を追うことや、葬儀社の比較など、ふだんから少しずつ「死」を意識しておくことが、最愛の家族との別れを後悔なく迎えるために必要なのかもしれない。

取材・文/瑠璃光丸凪/A4studio 写真/Shutterstock