火葬待ちの地域がある一方、積極的に火葬を受け入れる地域も…

次に武田氏に火葬料金の内訳やシステムについて聞いてみた。

「火葬場の料金には、火葬炉の利用料金だけでなく、火葬中の待合室の利用費、そして人件費や燃料費などが含まれています。

また火葬炉の形式にも違いがあって、公営に多い『台車式』は、火葬専用の台車の上に柩を乗せて燃やします。こちらは火葬時間が長くなりますが、遺骨の形が比較的そのままの状態で残りやすく、収骨の際にどこの部位の骨であるかが確認しやすいです。

民営火葬場で多く採用されているのが『ロストル式』というもので、これは燃えやすいように炉内の火格子(ロストル)上に柩を乗せて燃やします。遺骨はロストル下の骨受け皿に落ちます。火葬時間が速いのですが、台車式に比べると骨の形が若干崩れてしまうという難点があります」

ちなみに炉内の加熱については、台車式だとダイオキシン類対策のため5分間で800度近くまで上昇させる。反面、ロストル式の場合は、次々と遺体を荼毘に伏すことで炉内の温度を保ち、燃焼効率を上げて火葬炉の回転数を上げることでコストを抑える運営を行っているという。

写真はイメージです
写真はイメージです

だが、そもそも火葬する場所についてだが、都内在住の人が亡くなったとき、故郷で葬儀や火葬をしたいというケースなど、故人が住んでいた地域以外での火葬は可能なのだろうか。

「東京のように待ちの状態ではなく、火葬場に余裕のある地域なら住民以外の人々の火葬を受け入れてくれることがあります。例えば石川県小松市の『小松加賀斎場さざなみ』では、小松市にゆかりのある人々が故郷に戻って葬式をできるような取り組みを行なっています。

基本的に火葬場の利用対象地域に住んでいない人の場合、地元の住民よりも高い火葬料金を支払うことになりますが、なかには積極的に住民以外の火葬を受け入れて安価なプランを提案してくれる地域もあるのです」

また、地方へ遺体を搬送する場合は、葬儀社または遺体搬送を専門とする会社に依頼し、あらかじめ霊柩車の手配をする必要があるので注意が必要だ。