「留美子さんは海の近くの介護施設で働いていました」
職人気質の昭一さんは、共産党員としても熱心だったという。かつて一緒に活動していたという女性はこう振り返った。
「昭ちゃんは職人気質というかとにかく頑固で、真面目な方でした。タバコも吸わないし酒も飲まない堅物という感じですね。昭ちゃんが共産党員として活動を始めたのはもう50年以上前のことだと思いますが、とにかく自分の意見を曲げない。
こうだと決めたら押し通すので、他の意見の方と衝突することは多々ありましたよ。ただ、怒鳴るとかそんな感じではなく意見を曲げないって感じで、あくまで大人の話し合いですよ。
だから昔に家を建てた人のところでも、昭ちゃんからしても依頼者なわけですが、それでも意見を曲げずケンカになったこともあったそうです」
頑固な職人気質。しかし盆栽が趣味で、人の良さにも定評があった。女性は事件の前日にも昭一さんと顔を合わせたという。
「事件の前日、新聞を昭ちゃんの家に届けに行く用事があったのですが、朝5時30分にポストに入れようとしたらたまたま昭ちゃんがいました。『おはよー』と声をかけ合って、変わった様子はまったくありませんでした」
育子さんの方は物静かで、料理が趣味だったという。女性が続ける。
「育ちゃんは料理が上手で牡丹餅を作って持ってきてくれたり、それこそ事件の数日前には自宅の敷地でやっている家庭菜園で穫れたとモロヘイヤとゴーヤを届けにきてくれました。
これまで家庭の悩みなどは聞いたことはありませんが、5年ほど前に『長女が旦那と離婚してしまった』と涙声で電話をしてきたことはありますが、それ以外は何かあったというような話は聞いたことありません。
亡くなった留美子さんの方は、海の近くの介護施設で働いていました。ただ、私らくらいの年齢になるとみんな孫自慢ってするんだけど昭ちゃんと育ちゃんからは一度も孫の話は聞いたことがないですね。とはいえ家庭内で何かトラブルがあるようにも見えませんでしたが…」
一家に何があったのか。7月29日、静岡県警は片山宏一容疑者について公開捜査に踏み切り、全国に指名手配した。
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取材・文/集英社オンラインニュース班