信者たちをどのようにケアしていくべきか
――今後、国やメディアは何をすべきでしょう?
解散命令が出れば、信者には動揺と混乱が起こるでしょう。だからこそ、まずは宗教2世をはじめとする信者のケアが不可欠です。退会するにしろ、しないにしろ、教団解散後も社会で生きていけるように支援しなくてはいけない。
参考になるのはオウム真理教のケースです。1995年に東京地裁がオウムに解散命令を出した時、専門家の間では全国の保健所に専門窓口を設置し、オウム信者のケアに当たるべきという論議が交わされました。
残念ながら、この窓口設置は実現しませんでしたが、旧統一教会に解散命令が出た時には同じような対応が有効となるでしょう。
ただ、支援するといっても、何十年間も信仰を守り、総額1億円を超える献金をしてきた信者にいきなり教団を脱会し、社会復帰しろと言ってもなかなか聞き入れてくれないでしょう。教団解散といっても法人格がなくなるだけで、任意団体としての宗教団体や関連組織はそのまま残るわけですから。
だったら、被害者を生む馬鹿げた過度な献金なんかやめて、収入に見合った財政規模で教団を維持し、静かに信仰に生きることも一つの解決法です。これならだれにも迷惑をかけないわけですから、社会も信者を支援できるはずです。
あとひとつは教団と関係の深かった政治家の動向をチェックすること。解散後も選挙支援を受けたり、教団主催のイベントに出席したり、選挙時の推薦と見返りに教団関連団体と政策協定を結んだり――。そんな不適切な関係を継続していないか、しっかり監視するべきでしょう。
なにしろ、旧統一教会には秘書養成講座を開設してまで信者を国会議員秘書として永田町に送り込み、政界への浸食を図ろうとした過去がありますから。そして、それはいまも続いている可能性がきわめて高い。
いまでも国会議員に教団系の機関紙である「世界日報」を届けるため、議員事務所に出入りする信者がいると聞いています。宗教によって政治や政策が歪められることがないよう、一有権者として関心を持つことが大切です。
取材・文/集英社オンライン編集部