「中国内のSNSでは鉄頭を賞賛する書き込みも現れた」

董、許の両容疑者は落書きのために日本に入国した疑いがあり、コトを済ませて逃げ戻ったが、日本に暮らしスプレー缶を買った姜容疑者は防犯ビデオの解析から特定され逮捕されたという次第だ。6月3日の動画で董容疑者は、

「みなさん、こんにちは。無事帰国しました。私は北京時間5月31日20時50分(日本時間同21時50分)に(犯行を)やりました。北京時間6月1日5時20分、私は上海浦東空港に着きました。なぜこんなことをするのでしょう。さまざまな解釈がありますが、自分勝手な解釈はやめましょう。脳がダメージを受けます」

などと小ばかにしたような主張を展開。さらに「次にやること。東京電力を訴える」と言い始め、東京電力福島第1原発の写真が付いた記事を画面に示した後、こうまくしたてた。

「なぜ訴えるのか。法律によれば、世界中の影響を受けたすべての人々は訴えてもいい。私は(黄海に面した)浙江省舟山市が故郷です。私の人生で起きたすごいインパクト」

さらに「私は魚介類を食べるのが大好きです」とのテロップが現れ、福島第1原発からの処理水の海洋放出によって魚が食べられなくなった、と言い立てている。

上海の空港で犯行をひけらかす董光明容疑者
上海の空港で犯行をひけらかす董光明容疑者

「上海に居住しているとみられる董容疑者は、居場所を探し当てた日本のテレビ局にも同じような主張をしました。偉そうなことを言ってますが、中国内の反日感情に便乗した売名行為でしょう」

こう話すのは大手新聞社の外報部記者だ。

「もともと彼は、ネットショッピングに出ている怪しげな商品を糾弾したりする過激な動画投稿者で、一部で知られていました。浙江省出身で同省内の外国語大学を卒業し、上海を拠点に活動していたとの情報があります。

以前に性犯罪で収監された前歴があったり、SNSのアカウントが凍結されたりしたことがあるとの情報もありました。日中関係が悪いことに目をつけ、中国社会が“侵略戦争の象徴”とみる靖国神社をネタにすれば喝采を浴びることができると考えたのでしょう。実際、事件後、中国内のSNSでは鉄頭を賞賛する書き込みも現れました」(外報部記者)