頂き女子のカモにされる?
そして弱者男性の場合、一発逆転して収入を得たとしても、その次にコミュニケーションの壁にぶつかるケースが少なくない。恋愛結婚が主流である現代の日本では、ただ単純にお金があれば結婚できるというわけではない。
恋愛対象となる相手とそれなりに会話を成立させねば交際にまでこぎ着けることができないのである。また、マッチングアプリや結婚相談所では、常に「誰かと比較されながら」交際を目指すことになる。
そこにもし、コミュニケーションが得意なライバルがいれば、いいなと思った女性がいてもあっという間に奪われてしまう。
そこで誠実かつ、コミュニケーションスキルの低い男性を待っているのが、「頂き女子」を筆頭とする詐欺である。2023年、頂き女子の筆頭格として有名な「りりちゃん」が逮捕された。
頂き女子とは、男性と疑似恋愛をしつつ「親の借金を代わりに返済していてお金がない」「学費が足りなくて退学になるかも」などと噓をつき、お金を無心する女性を指す言葉である。
りりちゃんはいかにお金を「おぢ」と呼ぶ中年男性から騙し取るかをマニュアルに書き起こし、販売していた詐欺幇助の疑いで逮捕されたのである。
りりちゃんは最もお金を落としやすいカモとして、「独り身・モテたことがない・お金がない」男性を条件に挙げた。これはまさに、弱者男性の典型例である。なぜお金をタカるのに金持ちを狙わないのかというと、金持ちは基本的に倹約家が多く、金払いが悪いからだという。
つまり、女性のかわいそうな話を信じ、少ないながらも懐を痛めて学費や生活費を援助しようとする、優しい弱者男性こそ被害に遭っていたわけである。
もともとお金を受け取って飲み会に同伴する「ギャラ飲み」や、デートや肉体関係を通じて金銭を受け取る「パパ活女子」はいたが、ニセの経歴でお金を貢がせるより悪質なケースとして、頂き女子は逮捕されたのである。
かつて、複数の男性に多額の保険金をかけて殺害し、今は死刑囚となっている木嶋佳苗も、狙っていたのは「お金こそ持っているが、コミュニケーションや外見などに苦手意識のある弱者男性」だった。弱者男性は加害または透明化されるのみならず、悪人に狙われてしまうケースもあるのだ。