スタメン分析 中田翔の移籍で中軸が固まる

中田翔は22年オフに巨人と3年契約を結んでいたが、23年オフにオプトアウト権(複数年契約を選手自身が破棄すること)を行使して自由契約になった。秋広優人の成長で出番が少なくなった巨人を出る以上、攻撃力の低い中日を選ぶのは当然だ。23年の中日のチーム打撃成績は以下の通り。

打率・234(10位)本塁打71(12位)得点390(12位)盗塁36(11位)

日本ハム時代、本拠地が広い札幌ドームでありながら261本のホームランを記録した中田なら、本拠地をホームランの出にくいバンテリンドームに変えても自分の力は十分に発揮できると考えていい。中田の昨年までのプロ通算成績も紹介しよう。

打率・250本塁打303打点1062※打点王3回(14、16、20年)ゴールデングラブ賞も一塁手として5回受賞し、国際大会は、WBCに2回(13、17年)選出され、17年の同大会ではホームランを3本放ち、15年に選出されたWBSCプレミア12では打率・429、安打12(参加選手中1位)、本塁打3、打点15(1位)を記録、大会後、ベストナインに選出されている。

マスコミは広いバンテリンドームをホームにするマイナス面ばかり強調するが、中田の真骨頂は打点。大島洋平、岡林勇希といったチャンスメーカーもいるし、今年は塁上に走者を置いた場面が多く見られそうだ。

ファームで注目するのは21年2位の鵜飼航丞(外野手)だ。23年のファームでの成績、打率・287、安打80、本塁打7、打点38は、安定感と長打力が両立しているのがいい。台湾で行われたアジアウインターリーグには16試合出場し、打率・280、4本塁打、12打点(リーグ2位)を残している。

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巨人の成長株、萩尾匡也(外野手)が同リーグで打率・326を記録し、注目されているが、鵜飼のことを「(岡本)和真さんとかウォーカーのバッティング練習を見ているような感覚で、スイングも鋭い。鵜飼さんをよく見るようになって、ストイックに毎日ウエートトレをやっていた。そういうところを見て僕も台湾では毎日ウエートについていくように頑張ってみました」(『サンスポ』配信、2023年12月18日)と語っている。

レギュラー捕手の確立も課題だ。21、22年に120試合にマスクを被った木下拓哉が昨年87試合に減少したのは骨折が原因。23年6月に行われた試合中、涌井秀章のワンバウンド球を捕り損なったときに発生したもので、昨年の後半には一軍の試合にキャッチャーとして出場している。

ただ、もう大丈夫と軽々に言えないのは、木下の欠場中に一軍で起用された石橋康太や日本ハムから移籍した宇佐見真吾が頭角を現しているからである。とくに石橋は今年24歳の成長株でチームの将来も担っている。木下に悠長に構えている余裕はない。

チームの課題である二遊間の確立は、難問だ。昨年、各選手が同ポジションに就いた試合数は以下の通り。

二塁……村松開人70、福永裕基68、龍空19、石垣雅海15

遊撃手……龍空96、カリステ34、村松開人30、溝脇隼人24(自由契約)

福永は8月22日以降の試合が多かったにもかかわらず打率・241、本塁打2を記録、シーズン通算守備率・979も村松、龍空を上回っている。二塁は打撃でライバルの上を行く福永がレギュラーに最も近い。