筒香にとってポジティブなデータは…

13選手のうち、メジャー移籍前年の本塁打数を復帰1年目に上回ったのは城島(24本→29本)、田中(3本→4本)、青木(4本→10本)の3選手のみ。なお、日本球界復帰後のキャリアでシーズン30本塁打以上をマークした選手は現時点ではひとりもいない。

年齢的な問題もあるかもしれないが、「長打力」という点ではどうしても「衰え」が隠せなくなる傾向にありそうだ。

スラッガータイプの筒香にとっては不安も残るデータだが、逆にポジティブなデータもある。

筒香は現在32歳。過去の元メジャーリーガーの中では比較的「若い」タイミングでの日本復帰になる。過去、32歳以下で日本に復帰した日本人野手は以下の通りだ。

新庄剛志(32歳)
中村紀洋(32歳)
岩村明憲(31歳)
西岡剛(28歳)


新庄は復帰1年目からキャリアハイと呼べる数字を残し、3年目にはチームを日本一へと導いている。中村も復帰初年度こそ12本塁打に終わったが中日に移籍した2007~2008年には20本塁打以上をマークしてゴールデングラブ賞も獲得。岩村は日本球界への順応に苦しんだが、西岡は移籍1年目にレギュラーとして122試合に出場して打率.290をマークした。

慣れ親しんだ古巣への復帰、さらには32歳という年齢を考えれば、これまでNPB復帰した日本人メジャーリーガーの中でも筒香は「日本で再び輝ける」可能性が高い、といえるかもしれない。

5年ぶりの横浜スタジアムで筒香は再び輝けるか
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過去の例と照らし合わせると、「成功ライン」は打率.280、20本塁打、OPS.800以上が目安となりそうだが、筒香であれば十分クリアを狙える数字のはずだ。

もちろん、アメリカでもたびたび課題とされた速球への対応や、4年間のブランクなど、不安要素がないわけではない。チーム状況を考えても、早い段階で数字を残せなければレギュラーに定着できるかは不透明な状況だ。

しかし、結果こそ残せなかったかもしれないが、4年間のアメリカ生活で筒香も「なにか」を掴んだはず。

28歳だった筒香嘉智とはまた違う、32歳の「筒香」の雄姿を、横浜スタジアムで見たい。DeNAファンだけでなく、日本中の野球ファンが、筒香のバットに注目している。

取材・文/花田雪