制作した上田慎一郎氏の意図は…
「就活面接の立場を逆にして見せれば、現代日本が抱えるさまざまな問題を風刺した作品ができると思いました。作品として笑って楽しんでもらいつつ、笑えない問題について考えてもらえたらと思います」(上田慎一郎氏、以下同)
たしかに「就職活動」の面接の立場を逆転させてみただけで、ここまで話題を呼び、多くの人が議論できる作品へと昇華させた見事な映像作品である。しかし、本作は、映像の中身だけではなく、別の側面でも議論を生むこととなった。SNS上での無断転載だ。
この作品が上田氏の公式TikTokに投稿された直後から、多くのSNSアカウントがこれを無断転載して、X上でインプレッションを稼いでいる。フォロワーが数万、数十万いる青バッジ付きのアカウントが投稿するため、そちらが本家よりもインプレッションを稼ぐ事態を招いていることまで散見されている。
上田氏はこの動画を自身のXにも投稿したうえで、無断転載を拡散してしまっているユーザーに対して、〈制作者です。ご覧いただきありがとうございます!こちらの投稿元の投稿は許諾のない無断転載となります。よければこちらを拡散いただけると幸いです!〉と丁寧なリプライを送って対応を求めた。
本家の投稿には、ツリーで出演者やスタッフがクレジットで記載されているが、当然、無断転載元ではそうした記載もない。
上田氏は〈ちくしょう!無断転載されたのが万バズしてる!こっちが本家だ!みんな拡散頼む!〉と悔しさを露わにしていた。
この無断転載問題についても、上田氏は答えてくれた。
「Xが収益化されてから動画の無断転載が増えたように感じます。作り手が労力をかけて創作した作品が指先ひとつで無断転載されてしまう。しかも無断転載した側に収益も入ってしまう。これは大きな問題だと思います。無断転載に対する予防、防止の措置が強化されることを強く望みます」
実際、今回の作品を作るにあたり、企画開発から撮影、そして撮影後の仕上げなど多くの日数を要したという。映像自体は1分ほどの作品だが、その1分を生み出すために、何人ものスタッフが関わり、手間と苦労を重ねている。
Xでは、何気ないリツイートやいいね!でも、クリエイターの努力を踏みにじる結果になってしまうことがある。ユーザーは自分のワンクリックにしっかりと責任を感じてほしい。
取材・文/集英社オンライン編集部