蚊を介して感染する日本脳炎
蚊を介して感染する病気の中で、コガタアカイエカによる日本脳炎があります。日本脳炎ウイルスにより発生する病気です。 突然の高熱、頭痛、嘔吐などで発病し、意識障害や麻痺等の神経系の障害を引き起こす病気で、後遺症を残すことや死に至ることもあります(5)。
日本脳炎ウイルスに対する免疫をつけるためには日本脳炎ワクチン接種が効果的です。ワクチン接種により、日本脳炎の罹患リスクを75~95%減らすことができると報告されています(6)。
日本脳炎ワクチン接種の標準的なスケジュールは 1期目は3歳~4歳の期間に6~28日までの間隔をおいて2回接種し、2回目の接種を行ってから、おおむね1年を経過した時期に3回目の接種を行います。2期目の接種は、9歳から13歳未満までの期間に1回行い、計4回接種します。
虫の環境が変わったわけではありませんが、コロナ禍の中で人間の行動は大きく変わりました。密になることを避け、キャンプやアウトドアを楽しむ家庭が増え、野山に行くことで虫に遭遇する機会も増えています。服装や虫よけなどできちんとカバーして、むやみに深い山道には入らないよう注意しながら、楽しい思い出になるようにと願っています。
参考文献
(1) CDC. Travelers’ Health(Chapter 3):
https://wwwnc.cdc.gov/travel/yellowbook/2020/noninfectious-health-risks/mosquitoes-ticks-and-other-arthropods
(2)FradinMS and JF Day. Comparative efficacy of insect repellents against mosquito bites. N Engl J Med, 2002. 347(1):13-8.
(3)MooreSJ, A. Lenglet, and N. Hill. Field evaluation of three plant-based insect repellents against malaria vectors in Vaca Diez Province, the Bolivian Amazon. J Am Mosq Control Assoc, 2002. 18(2):107-10.
(4)American Academy of Pediatrics. Choosing an Insect Repellent for Your Child(https://www.healthychildren.org/English/safety-prevention/at-play/Pages/Insect-Repellents.aspx)
(5)国立感染症研究所:日本脳炎 疾患情報.
(6)国立感染症研究所:日本脳炎ワクチン接種歴別の年齢/年齢群別日本脳炎抗体保有状況、2017年.
取材・構成/百田なつき