植物由来の虫よけ剤が安全とは限らない

「アロマ系など植物由来の虫よけ剤のほうが子どもに優しいんじゃないか?」というご質問を時々いただきます。植物由来の虫よけ成分の代表格はシトロネラです。この成分は確かに虫よけ効果はありますが、皮膚からの蒸発も早く、持続効果も20分以内に消失するとの報告があります(2)。

虫よけの効果が20分とすると、1時間に3回も塗り直す必要があり、レジャー中の親や子どもにとってあまり現実的でないですよね。他にはレモンユーカリ油の虫よけ剤があります。こちらは4時間ほど効果があったという報告があります(3)。

しかしレモンユーカリは刺激が強く、3歳未満は使用禁止です。植物由来と聞くと100%安全、と思いきや、そうではないことも知っていただきたいと思います。薬剤を染みこませたリストバンドやシール型も明確な効果は不明です。米国小児科学会も効果はないとしており(4)、私たちもおすすめしていません。

これらの理由から、総合的に考えると、市販のイカリジンなどの虫よけ剤がいちばん使いやすいのではないかと考えています。 

また、自宅や屋内の虫刺され予防対策で、蚊取り線香を使うご家庭が多いと思いますが、喘息の持病を持つ子どもは蚊取り線香の煙で喘息の発作が出る場合があります。風向きに注意して使うようにしましょう。

そして、虫刺されの症状を悪化させないためには清潔にすることがポイントに。気をつけたいのが汗です。夏場は特に汗をかきやすい状態なので、こまめに汗をふき取りましょう。また子どもは痒いと無意識に掻きむしってしまいがちなので皮膚を傷つけないためにも、爪は切って念入りに手入れを心がけてください。