尹錫悦大統領が勝てた理由も反フェミニズムと関係が?

少子化の背景には多くの現象が絡まりあっている。人口が集中する首都圏での住宅費高騰や、塾通いなしでは進学校へ進めないとの考えを背景とした教育費による家計の圧迫、晩婚化や未婚率の上昇などだ。さらに、数年前から高まっているフェミニズムと、これに対する若い男性の反発も新たな要素とみられている。

大久保エリアの通称、「イケメン通り」の屋台で働く30代の韓国人男性Cさんの意見は激烈だ。

「私は韓国の女性が嫌いなんです。なにかにつけて『男性が悪い!』『女性蔑視だ!』と騒ぐから嫌になってしまって(韓国を)出てきたんです。キッカケは7、8年前に始まったフェミニズムの盛り上がりです」

イケメン通りで働くCさん
イケメン通りで働くCさん

儒教に基づく家父長制が深く根を下ろしていた韓国では、1987年に軍主導の強権的な政治が終わって「民主化」が実現した後、徐々に女性の社会的地位が男性に近づいてきた。

2016年にソウルの繁華街、江南の地下鉄駅で「女性憎悪」が動機の女性殺人事件が起きたことでフェミニズムのムーブメントが一挙に高まり、2017年に発足した文在寅前政権はこれを後押しする政策を展開した。

しかしここで、2年前後の徴兵の義務を負う20~30代の男性を中心に「女性ばかりが優遇されている」との不満が拡大。前回2022年の大統領選は、文政権のフェミニズム政策を担った女性家族部(省)の解体を公約に掲げた尹錫悦候補(現大統領)が勝利。

これには若い男性の支持が大きく影響したとみられている。現在、女性家族部は存続しているものの機能停止に近い状況に追い込まれている。