スマホやメールがないからこその淡いエピソード
うってかわって、携帯電話やインターネットがない時代だからこその淡いエピソードを教えてくれたのは50代女性のDさんだ。
「みんな実家の電話で連絡を取り合うんですけど、そこで厄介なのがお父さんの存在。同級生のいい感じの男の子から『20時にかけるね』と言われてスタンバイしてたのに、たまたま早く帰ってきた父親が電話を取ってしまい……。
男の声だとわかると『娘にかまうな!』とガチャ切り。当然、私は『なんで切るの!』と泣いて抗議しました。
それを見かねた母親が電話に取りつける延長アダプタを買ってくれて。当時は子機もなかったから、その延長アダプタで電話機を部屋まで持っていって男の子と電話してました。親や兄弟に会話を聞かれなくてすむので助かりましたね」
また、メールやSNSがないからこそ、「文字で思いを伝え合う温かさがあった」と話すのは60代の男性だ。
「昔はメールなんてないから、昭和のころは駅の伝言板が重宝されてたよね。『○○に寄ってから帰るよ。(名前)』みたいな事務的なことから、恋人の最寄駅の掲示板に相合傘や『今日も好きだよ』なんて余計なことまで書いちゃってさ(笑)。
それを恋人が見るかどうかわからないんだけど、見てくれたらうれしいじゃない? 届かないかもしれない、繋がらないかもしれない、だからこそ届いたり繋がるとうれしいって感覚があったよね」
現代と比べるとユルい面もありつつも、淡い一面もあった昭和時代の恋愛。『不適切にもほどがある!』ではこれらをどう描くのかが楽しみだ。
取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班