当事者性をもってもらうために、読者を被害者にする
––––梨さんの作品の感想を読んでいると、ときどき「意地が悪い」と書かれていることがあります。
当事者性の問題でしょうか。当事者性を持ってもらえると、没入感を高められるので、それを狙って書くことがあります。書籍やネット記事という媒体の場合、その情報を読んだ、目にしたという当事者性はすぐ持たせられるのですが、それ以外にも何か当事者意識を持たせることはできないか。そう考えると、一つあるのは「被害者になってもらうこと」なんです。
––––被害者、ですか。
知らず知らずに何かの片棒を担がされていたとか、呪いに加担してしまっていたとか、そういうことですね。あまり直接的にやると興ざめするので、バランスが難しいところでもあります。
ホラーの文脈において当事者性を持たされるのは、「嵌められた」とニアリーイコールだと言える。だから、「意地が悪い」という感想が出てくるのかな、と思いました。
––––うまく嵌められた場合は意表を突かれる快感もあるので、「意地が悪い」は称賛の言葉かもしれませんね。最後に、ホラーに関係なく好きなジャンルの作品やエンターテインメントについてお聞かせください。
最初に思い浮かぶのは現代詩ですね。短歌なども好きで、先日木下龍也さんのサイン会に行きました。あとは、恋愛ものや青春群像劇が好きなんですよ。最近観た作品だと、『愛がなんだ』や『花束みたいな恋をした』、『君の名前で僕を呼んで』もすごくよかったです。
––––すごく意外です……梨さんのホラー作品にはない、人間的な心が感じられます(笑)。
私はもともと同人作家として、ホラー以外の文章を書いていたんですよ。このままだとホラーの人になってしまいそうなので、最近は同人誌で歌集を出すなど、ホラー以外も書くことをアピールしています。ホラーももちろん書き続けますが、今後は別ジャンルの作家としての顔ももっと見せていきたいですね。
インタビュー・文/崎谷実穂
【#1】 「怪文書を壁一面にベタベタ貼って、通行人を嫌な気持ちにさせたい」伝説的イベント『その怪文書を読みましたか』の仕掛け人に聞く、新しいホラーエンタメの形
『その怪文書を読みましたか』刊行記念トークイベント in 大阪ロフトプラスワンウェスト
出演者 梨 , 株式会社闇・高木 , 背筋(リモート出演)
開催日 2024年1月21日(日)
開場日時 12:00 開演日時 13:00
会場 Loft PlusOne West (大阪府)
《会場チケット》
前売¥2,000 / 当日¥2,300(+drink)
会場チケットはLivePocket(https://t.livepocket.jp/e/e3g4m)にて発売中
《配信チケット》¥1,500
配信チケットはキャスマーケット(https://twitcasting.tv/plusonewest/shopcart/283663)にて発売中
※アーカイブは2月4日 22:00まで購入可/2/4 23:59まで視聴可能
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大阪展
場所 心斎橋オーパ 9F OPA GALLERY
開催日 2024年1月13日(土)〜1月28日(日)
時間 11:00〜21:00(最終入場20:30)
博多展
場所 hmv museum 博多
開催日 2024年3月16日(土)〜3月31日(日)
時間 11:00〜21:00(最終入場20:30)
料金 体験 1,200円(税込)
注意事項 土日祝日のチケットは日時指定制です。
平日券では入場できません。予めご了承ください。
WEB https://yomimashitaka.com/
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