「北九州の恥さらし」と言われてきた

――北九州の地域活性のためのイベントにも参加されています。

NYで個展をやったときに、カンタン羽織を作ったのです。これが革命的なんですよ。着物で一番大変な着付けをせずに、誰でもすぐにみやびの衣装を着ることができます。北九州のイベントでも外国人にとにかく大人気で、500人以上の外国の方が喜んで写真を撮っていましたね。

――インバウンド需要ですね!

「海外のセレブ向けに作ったら売れる」と言われています(笑)。

でも正直毎年の若者の着物も儲かっていませんし、イベントも別に儲けようとかじゃなくって、地域貢献というか。北九州にしかないじゃないですか、こんな衣装。これまで批判されることが多かったですし、うれしいんですよね。

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NYでの展示のために作成したカンタン羽織を羽織った雅さん。彼女の作品は、ジェンダーレスでもあり、ボーダーレスでもある。

――これまではどんな批判が?

SNSでは「死んだらいいのに」「うち(貸衣装みやび)があるから、北九州の成人式がこうなる」「北九州の恥さらし」とか。 

あと式の直後は、ご年配の方から「けしからん!」というお電話がかかってきます。お客さまからのクレームであればお詫びできるんですけど、こればっかりはどうしようもなくって…。今年は減るとうれしいな。

――NYでの喝采、全国ネットのテレビ番組に出演などで、新成人の問い合わせに変化はありますか?

いまは、2025年とか2026年に新成人となる方から「『みやび』さんの衣装をぜひ見てみたいです!」と問い合わせがきています。

オーダーしてくれる新成人たちの衣装に対する考え方も、少しずつ変化しているように思いますね。ただ目立ちたいというより、アートを身につける感覚といいますか、そんな思いをもって衣装を選んでくれる人も増えてきた気がします。

――20年間、若者と歩んでこられました。

最近の若者の方々は、コロナ禍の行動制限の中でマナーを身につけられたんだと思っています。みやびの着物は華やかで派手ではありますが、上品にはしゃぐ姿勢も少しずつ身につけている気がします。

変わらずヤンチャな子もいますが(笑)。

――2024年はパリコレクションでショーを披露されるという噂です。

NYからも当然来てくれますよね?という強気なオファーをいただいていて、ミラノとパリからもお声がけがかかっています。まだどのようなスケジュールになるか予定を組めていないのですが、今年のパリはオリンピックもありますもんね。ぜひ期待していてください。

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新成人のためにと会場の近くにランウェイを作った。もちろん利益が出ることではないという