独自の進化を遂げた中国のIT
イーロン・マスク氏もこのミニプログラム方式を活用し、Xのスーパーアプリ化を目指している。
また2020年9月には、アップルがiPhoneに「App Clip」という機能を実装させた。これはレストランでのテイクアウトや自転車のレンタルなど、その場で必要に応じて使える“小さなアプリ”のことで、ネイティブアプリをインストールせずに機能を部分的に利用できるというもの。グーグルも「Google Play Instant」をAndroidに実装し、アプリの一部を体験できるような機能を提供している。
いずれも念頭にあるのは、WeChatとミニプログラムの仕組みであることは明らかだ。
中国はグーグルなどの海外サービスを排除し、類似したサービスを国内で始めることによって、ITの成長が始まった。「海外のパクリで成長した」と感じている人も多いだろうが、それは10年も前の話だ。
人口14億人というメガサイズのガラパゴスの中で、中国のITは独自の進化を遂げ、その中から優れたものが生まれ始めた。今度は世界中の企業が中国のサービスに学び、取り入れるということが始まっている。
文/牧野武文