直接対決は
「負けてもいいかな」(愛咲美)
「無心で打ちます」(梨紗)
――そして12月14日、女流棋聖戦の挑戦者決定戦でおふたりが直接対戦。率直な心境を教えてください。
梨紗 特に何にも感じていません。ただ姉はNHK方式(1手30秒の早碁)に関しては最強だと思うので、楽しみではあります。
愛咲美 私は基本的に姉妹対決をしたくないんですよ。でも注目していただけるし、しょうがないかなって感じです。妹は(藤沢)里菜先生にも勝って、勢いがついていそうなので、おもしろい手合いになるのではないかなと。
――姉妹であまり碁を打たないそうですね。
愛咲美 打ちませんし、研究もほぼしません。
梨紗 私は打ってもいいのですが。
愛咲美 妹はいつもこのスタンス。私は勝っても何も得られないし、負けたら最悪の気分なんで、打つメリットがない(笑)。だから公式戦以外打ちたくないです。
――今回で公式戦2度目の姉妹対決ですね。前回(2022年の第34期女流名人戦挑戦リーグ)は愛咲美さんが勝利しましたが、対局後、家の中でのおふたりの雰囲気はどうでしたか?
愛咲美 いつもと変わらず「無」ですね。けっこう普通だったよね?
梨紗 うん。まあでも、しゃべりたくはなかったかな。ふだんでも、次に当たる相手とご飯をすることもよくありますし。相手を意識するより、自分がどうするかですから、相手はあまり関係ないです。
――愛咲美さんは妹に負けるわけにはいかない、とプレッシャーを感じたりは? 過去のインタビューでは「絶対に負けない」と発言されることもありましたが。
愛咲美 いや、でも、里菜先生に勝って決勝にきたし強くなったみたいなので、負けても「まあいいかな」って感じですね。
――お互い手の内はわかっている?
愛咲美 だいたいわかってると思います。
梨紗 でも意外と知らない部分があるかもしれないし、ちょっとわからないですね。
愛咲美 どうなんだろうね。盤を挟んで対峙したら、何も考えないかな。「自分と似たような顔の人がいるな~」とか、そんな感じです(笑)。
梨紗 無心ですね。女流棋聖戦を打つ対局場に芝野虎丸先生の「無心」と書かれたサイン色紙が飾ってあるんです。今回もその文字を見つめて瞑想して、無心で打ちます。
――12月14日、どんな碁が見られるかが楽しみです。
取材・文/内藤由起子
集英社オンライン編集部ニュース班