突如ひらめいた「そうだ、ヒスイを探しにいこう!」
北陸を中心とする日本海側は、自分にとってまったく未知のゾーンだ。
そこに行けば、きっと何かがある。
50代も半ばのおっさんながら、そんな蒼くさい予感にとらわれた僕は、自力カスタムしたオリジナルの車中泊専用カーに乗り、北陸“宝探しの旅”に出た。
東京の家を発ってから4日目の、11月某日早朝。
前夜遅くに到着した、富山県黒部市の道の駅“KOKOくろべ”で束の間の休息をとった僕は、そこからさらに車で30分ほど走った先にある、宮崎・境海岸を目指した。
ヒスイハンティングを実行するためである。
富山県から新潟県に至るこのあたりには、ヒスイの原石を拾えることで有名な海岸が点在している。
“ヒスイ海岸”と総称されるそこには、お宝ゲットを狙う“ヒスイハンター”が集まってくる。
海岸を擁する町の方も、ヒスイを観光資源として有効利用しているため、どこを見ても「ヒスイ、ヒスイ、ヒスイ」と盛り上がっているエリアなのだ。
富山県下新川郡朝日町の宮崎・境海岸駐車場に到着した僕は、車内に常備してある長靴に履き替え、おもむろに秘密道具の“ヒスイ棒”を取り出した。
まあ本当は、秘密道具なんていうのは大袈裟で、ホームセンターで買った塩ビパイプの先に、ステンレス製ザルをテープ留めした簡易的な道具。
でも、総額400円弱でできるこの“ヒスイ棒”があるのとないのとでは、ヒスイ探しの効率に大きな差が生じるというので、あらかじめ用意しておいたのだ。
なんて偉そうに言ってるけど、僕の車中泊旅は行き当たりばったりを信条としているので、「そうだ、ヒスイを探しにいこう!」と思いついたのは前日夕方のこと。
そこからネット検索を駆使して、さまざまな情報を急速取得した。
この“ヒスイ棒”のこともその時点で知り、ホームセンターへ急行。材料を買い込み、車内で作成したものである。
ヒスイが見つかる海岸は、基本的に砂浜ではなく、小石で埋め尽くされている。
膨大な小石群の中から、ヒスイの一粒を見つけ出すのはそんなに簡単なことではないらしい。
でもヒスイを見分けるコツも、昨晩YouTubeを見て学習済みなのでバッチリでしょう(多分)。
兎にも角にもいざ出陣!
日本の“国石”にも選定されている美しい鉱物・ヒスイ(翡翠)を探せ!
僕はなぜか根拠もなく、自分は必ずヒスイを見つけられると信じていた。