上司ガチャにハズレたら、多くの人たちは「あきらめる」
そもそも、世の中の人は上司に対してどう思っているのだろうか?
10代から60代の働く男女500人を対象にした株式会社ビズヒッツによる「嫌いな上司に関する意識調査」によれば、「職場に嫌いな上司はいるか」という質問に対し、「はい」と回答した人は73.2%(500人中366人)。全体の7割以上の人が、職場に嫌いな上司がいるという。さらに、「上司が理由で会社を辞めたいと思ったことがあるか」という質問に対しては、65%が「ある」と回答。上司との関係性次第で、後ろ向きな退職や転職も起こり得るほど、部下にとって上司の存在は大きいものだということがうかがえる。
この調査では、「職場に嫌いな上司がいる」と答えた366人に、「上司のどんなところが嫌いか」を尋ねているが、結果は次のとおりだ。
1位……相手によって態度を変える
2位……仕事を押しつける/仕事をしない
3位……高圧的/偉そう
4位……気分屋
5位……自分がすべて正しいと思っている
こんな上司の下で働かざるを得ないとなれば、「上司ガチャにハズレた」と嘆きたくなるのは当然だと思う。
また、正社員として働いている452人を対象にした株式会社アッテルによる「上司ガチャの実態調査」(2022年)によれば、「現在もしくは過去に正社員として勤めた企業において『上司ガチャ』に恵まれたと感じたことはあるか」という質問に対し、「ある」と回答した人が70.8%にのぼった。一方、「『上司ガチャ』にはずれたと感じたことはあるか」という質問には、81%が「ある」と回答。上司ガチャで当たりを引いたことがある人よりも、ハズレを引いた経験のある人のほうが10%も高いという結果になっている。
この調査では、「恵まれたと感じた上司」と「はずれたと感じた上司」それぞれの特徴を聞いている。
「恵まれたと感じた上司」の特徴トップ3
1位……コミュニケーションが取りやすい(42.9%)
2位……人として尊敬できる(38.5%)
3位……面倒見が良い(38.3%)
「はずれたと感じた上司」の特徴トップ3
1位……指示が分かりにくく一貫性がない(48.5%)
2位……高圧的な態度を取る(47.8%)
3位……すぐに怒るなど感情的になりやすい(44.7%)
この調査にはまだ続きがある。「上司ガチャ」でハズレを引いたと感じたことのある人に、「『上司ガチャ』にはずれたと感じたとき、どのように行動したか」と尋ねたところ、一番多かった回答は「諦めて上司に合わせた」(46.2%)。およそ半数が、自分のイライラやモヤモヤ、ガッカリ感を押し殺しながら、ハズレ上司に調子を合わせているわけだ。次に多かった回答は「転職・独立した」(25.4%)。いずれにせよ、上司に何か働きかけるのではなく、自分のほうで対処する人が多いことがわかる。
ほかにも、「上司との相性が仕事のパフォーマンスに影響したことはあるか」とも質問しているが、最も多かった回答は「かなりある」で50.9%。続いて「ややある」が41.8%と、「かなりある」と「ややある」を合わせて9割以上の人が「上司との相性が仕事のパフォーマンスに影響する」と感じていることがわかる。「あまりない」は5.1%、「ほぼない」は1.3%、「わからない」は0.9%と、上司との相性に関係なく働ける人は、ごく少数派なのだ。
おそらく多くの人がこれまでの経験から感じているように、上司との相性は仕事の成果に大きく影響する、といえる。