中国新型ステルス原潜を海自は捕捉できるか?

中国海軍の勢いを誇示する意味でも、この新型原潜の持つ役割は大きい。米海軍大学の中国海事研究所によれば、096型原潜は全長150メートル、最高速度は29ノット(時速約54キロ)。先行艦の094型に著しい改良が加えられた096型は、水中排水量15000トンを超え、ロシア海軍の持つ「ボレイ」型ミサイル原潜や「アクラ1」型攻撃型原潜よりも性能的に優れているという。

ステルス性能も高い中国の『096型』戦略弾道ミサイル搭載原子力潜水艦
ステルス性能も高い中国の『096型』戦略弾道ミサイル搭載原子力潜水艦

また、そもそも潜水艦が海中深くを航行するという性格から隠密性が高いにもかかわらず、その形状もステルス性に最大限配慮されたものになっているようだ。ただし、その性能の詳細はまだ明らかになっていない。艦そのものがレーダーに映りにくくなっているのか、それともソナーに探知されにくい特性を持っているのか? 

一説には原子炉による動力に加えて、電気駆動方式やウォーターポンプ推進装置、フローティング式静音装置などを採用することでステルス性をさらに強化しているとの情報もある。
はたして我が国の対潜哨戒網はこの中国新型原潜をきちんと捕捉できるのだろうか?

11月6日の読売新聞朝刊一面には「日本周辺での航行が増加する中露軍艦艇の警戒監視に護衛艦が不足し、小型艦や補助艦艇の投入を余儀なくされている」という記事が掲載された。運用する乗員も含め、自衛隊の護衛艦数はけっして十分とは言えず、捕捉に不安が残る。

対潜哨戒機P-3Cや哨戒機P-1、あるいは海自と連携する米国のSOSUS(音響監視システム)と呼ばれる水中固定型ソナーも心もとない。これまでの中国原潜は蒸気タービンを回す音が大きく、すぐに探知できたとされるが、096型はステルス性を備えているだけに、その捕捉効果は未知数だ。

前出の毒島氏が続ける。

「哨戒機が単独で原潜を捕捉するのは難関に近い。そのため、米軍運用のSOSUSでまずは海中の平常状態データを蓄積しておき、異常な音がすればその海域にすぐさま対潜装備を送り込んで探知する手順となっています。 ただ、現状の自衛隊が豊富な海中データ&対潜アセットを送り込むというふたつの段階を同時にクリアできるかというとかなり怪しい。これを補うために我が国はFFM(多機能護衛艦)の大量建造に踏み切ったと見ています」