集めているというより、呪物同士が引き寄せ合っているのかも

——コレクターのお二人は、そもそもなぜ呪物の蒐集をはじめたのでしょうか?

田中 オカルトコレクターを名乗っているうちに、自然と呪物が集まってきた感じなのですが、最近はそれがちょっと加速している気もしていて。僕がお気に入りの呪物に、チャーミーという人形がいるのですが、こいつが呼び寄せているのかなと。

——チャーミーには、どんな由来があるのですか?

田中 元々は千葉の介護施設にいた人形なんですけどね。可愛がると、なぜかその入居者さんが死んじゃうっていうシンプルに怖い由来があります。でも、最近は展示とかでもチャーミーはめちゃくちゃ可愛がられていて。ファンからチャーミーのための服とか髪飾りが届いたりするんです。そういう人がみんな死んじゃうかというと、そんなことはもちろんなくて。さっき片山さんも言っていましたが、展示されることで悪いものが薄れていっているのかもしれないですね。僕も可愛がりまくってますよ。今まさにZoomをつないでいるこの部屋だって、チャーミーのための部屋ですからね。

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シンプルに怖いチャーミーだが、今や田中さんにとって「相棒」のような存在でもある

——愛情がすさまじい……! はやせさんは、どういった経緯で呪物に目覚めたのですか?

はやせ 最初は本当にたまたまです。取材でミャンマーを訪れたときに宿泊したホテルのオーナーが、「おれはチン族という部族の出身で、代々続く魔術師の家系なんだ」というようなことを言っていて。その証拠として、儀式で用いるネックレスを見せてくれたんです。それを見た瞬間に「これを身につけたら、なんだか強くなれる気がする!」と直感して。はじめは「売り物じゃないから」と突っぱねられてしまったのですが、3,000円を渡したら普通に売ってくれて。本当はミャンマーから持ち出すのは禁じられているらしいんですけどね。空港でも見知らぬ女性から「そんなものを国の外に出したらダメだ」と止められました。でも、その人も2,000円を渡したら「OK」って。それで日本に持ち帰ってきて、しばらくはずっと身につけていました。

——それで、何か変化はありましたか……?

はやせ 特に変化はありませんでした。強いて言うなら、新大久保でホストのお兄さんに因縁をつけられたくらいかな。でも、呪物に興味を持つきっかけにはなりましたね。気づいたら自然と蒐集をはじめていました。今はもうコレクションというよりも、「みんなに怖がられていて可哀想だから、ウチで引き取ってやろう」みたいな感覚です。だから毎朝、結構忙しいんですよ。一つひとつにモーニングルーティンがあって、水やお線香を供えたり、好きな音楽を聴かせてあげたりしないといけないから。

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はやせさんが、廃屋で見つけた人形。柱に釘で打ち付けてあったという。着物に包まれた手足は、とある誘拐事件を報じる新聞記事でできているそうだ