湯気が白く見える理由
切り株から立ちのぼる湯気の水滴は、雲粒と同じくらいの大きさがあり、当たった光は様々な方向に散らばります(散乱)。湯気が白く見えるのは、あちこちに散らばった様々な色の光が重なって私たちの目に届くからです。
切り株の近くでは、湯気の水滴が多く、光を強く散乱するために白色が濃く見えますが、湯気が上昇するにしたがって周囲の乾燥した空気と混ざって蒸発するため、白色が薄くなり、だんだん見えなくなります。
空に浮かぶ積雲も、周囲の空気と混ざると蒸発して消えていくという点で、湯気と似たプロセスを持っています。
温められた空気は密度が小さくなり、周囲よりも軽くなるため、上向きの流れ=上昇気流が発生します。切り株の湯気がどれくらいの速さで上昇しているかを映像から解析した上で「湯気と周囲との温度差がどれくらいあるのか」を計算したところ、湯気のほうが周囲よりも約5度高いことがわかりました。
気象条件によっても温度は変化しますが、実際に切り株から立ちのぼる湯気に手をかざしてみると、周囲に比べて少し温かいと感じます。