それでは、捜査機関が所有する反社データベースにアクセスできない場合、どのように反社チェックを行えば良いのでしょうか。
実は、民間で反社データベースを提供している企業があるのです。この反社データベースは、調査会社がそれぞれ調査を行って集めた情報が集積されているもので、警察庁が把握している捜査用のものとは異なります。しかし所定の費用を支払えば、一般企業や個人でも利用可能なサービスです。
具体的には以下のようなサービスがあります。
・日本信用情報サービス
日本信用情報サービスは、自社独自の方法で多方面から情報収集を行って反社会的勢力データベースを作成しています。新聞などの報道を通じて広く知られた情報だけではなく、独自ルートで非公開情報も収集し、情報漏えい対策も徹底していると言われています。定期的に非公開情報を仕入れているので高い精度の反社チェックが可能です。
・日経テレコン
日経テレコンは、反社会的勢力に関する新聞記事や各国の制裁リストなどの情報ソースをもとにリスク情報を集めて反社データベースを作成しています。国内だけでなく海外企業や個人についても反社チェックできるのが特徴です。
一方で上記に挙げたサービスのほか、名刺をスキャンしたり企業名や人名を入力するだけで反社チェックできるツールや反社チェック業務を代行する企業もあります。「反社データベース」と言っても、サービス内容は企業によって大きく異なるのが実態です。導入の際はサービス内容を精査して進めましょう。
あなたの会社にすり寄る”黒い影”を見抜く「反社データベース」とは何か?
企業にとって大きな脅威となっている「反社会的勢力」。指定暴力団の構成員であることを隠して企業活動や政治活動に従事する者も増え、その実態をつかむのは年々困難になっている。そのため、取引相手が反社会的勢力かどうか調べる「反社チェック」の重要性は年を追うごとに高まり続けている。そこで近年、注目を集めているのが「反社データベース」というサービスだ。今回は元弁護士でライターでもある福谷陽子氏が、反社データベースについて解説。果たして、反社データベースは反社会的勢力と向き合う企業にとって救世主となりうるのか?
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反社データベース以外の方法も検討を