勉強をすることで生み出せる「価値」
外注の特徴を「自分でやらなくていいことは、プロに任せる」と言いました。
電球一つだけつける場合も、その手前はすべて、他の人がやってくれているわけです。開発も生産も流通も、お金を払って誰かにやってもらっている。
そもそもお金は、誰もが外注できるように、「価値を交換するためのツール」です。もっと詳しく言えば、自分が得意なことをして生み出した価値を、他の誰かの得意なことと交換するためのツールなのです。
ここで言う「得意なこと」とは、投下時間に対して、あなたが他の人と比較して価値を生みやすいことです。そして、自分は得意でやるべきことにフォーカスしていく。そうすると、効率的に資産を増やすことができるのです。
では、自分が価値を出せる分野はどこにあるのか。
その判断軸は、二つあります。一つは、自分が得意だと感じるかどうか。もう一つは、マーケットがあるかどうかです。
ものすごく得意でも、マーケットがなければあまり価値を生めません。マーケットがあるとは、その成果を価値だと感じる人が一定数いて、他の価値と交換可能な状態になっているということです。
たとえば、私はゲームの「スプラトゥーン」が得意で、そのへんの人には負けない自信がありますが、これは「交換可能な価値」ではありません。他の人にとっても、価値があることではないからです。
私の場合、他の人よりも得意で、マーケットもある分野は「教えること」でした。
学生のとき、アルバイトで塾の先生をやってみたら、他の人より上手にできることに気がつきました。
塾で教えるのは楽しい体験でした。交換可能な価値を生みつつ、自分としても楽しい。そういう分野だと、がんばるのもあまり苦になりません。その後、自分で学習塾を立ち上げました。最初はワンフロアの小さな塾でしたが、1年ほどでビル一棟、全フロアを埋めるまで成長しました。
そんなに一気に伸びるとは、最初は想像していませんでした。
大変なことはもちろんありましたが、苦手な分野はとにかく人に任せていたので、そんなにつらくはなかった。
労力に対して、とても大きな成果を得られた感覚でした。これは、得意なことにフォーカスした結果だと思います。
文/岡 健作
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