安倍政権から続く「軍拡路線の拡大」に大手メディアは…

安倍政権以降、政府と自民党はただひたすらに「軍拡」を目指してきた。安倍氏から菅氏、岸田氏と総理が替わっても軍拡路線に突き進むばかり。そして驚くべきことに、読売新聞を始めとした一部の大手メディアは、敵基地攻撃能力の保有や防衛費の増額に拍手を送っている。

写真/野辺竜馬
写真/野辺竜馬

1つ、等松教授の言葉を振り返りたい。

〈近年、日本をめぐる安全保障環境が悪化する中、政府は防衛予算を大幅に増額することを決定しましたが、メディアは本質的な問題から目を逸らし、相も変わらず防衛予算の額や兵器や装備の性能の話に終始しています。
いくら予算と兵器・装備が増えても、それを扱う人間が質量ともに揃わなければ防衛力の強化は絵にかいた餅に終わるでしょう(…)現代の安全保障はたんに兵器と人間の頭数が多ければよいというものではありません。
刻々と変化する安全保障環境と技術革新に柔軟に対応できる、想像力と論理的思考力を持つ幹部自衛官がいなければ、自衛隊を十全に機能させることは不可能です〉【2】


等松教授がおっしゃる通り、武器や防衛予算をいくら増やしても、それを扱う人間が育っていなければ、意味がないのだ。ところが現実には〈幹部自衛官になるべき若者を養成する中枢である防大では、受験者の激減、学生の質の低下、パワハラ、セクハラ、賭博、保険金詐欺、補助金詐取、いじめやストレスからの自傷行為など、憂慮すべき事態が立て続けに起きる異常な事態〉【2】が続いている。

こんな状況で、自衛隊がまともに機能するとは期待できない。問題があるなら、まずは立ち止まり、ゼロベースで考えることが大切ではないのか。戦争への道は、その資格のない人たちに武器を与え、予算を与えることから始まる。今の自衛隊には、増えた予算や武器を扱う能力など、到底、備わっていないのではないかと思う。

【1】 竹田恒泰氏が、ツイッターに「差別主義者」や「教育現場に出してはいけない人権侵害常習犯」などと書かれて名誉を傷つけられたとして、山崎雅弘氏に550万円の損害賠償と投稿削除を求めた訴訟。一審は、竹田氏が講演や著書で侮蔑的な表現を繰り返しているとし、「一定の批判は甘受すべきだ」と竹田氏の請求を棄却した。その後、二審も一審の判決を支持し、最高裁は竹田氏の上告を退けた。

【2】等松教授の論考『危機に瀕する防衛大学校の教育』より。

【防衛大現役教授が実名告発】
#1 自殺未遂、脱走、不審火、新入生をカモにした賭博事件
#2 防衛大の時代錯誤なリーダーシップ・フォロワーシップ教育
【防衛大論考――私はこう読んだ】
#1 望月衣塑子:「教育者としての絶望」
#2 大木毅:「自衛隊が抱える病い」
#3 現役教官:「学生を変質させるカリキュラム」
#4 石破茂:「国防を真剣に考えると疎んじられる」
#5 石原俊:「幹部自衛官の知的・学術的水準は他国と比べて・・・」
【元防大生の声】
#1  上級生が気の利かない下級生を“ガイジ”と呼びすて…
#2 「1年はゴミ、2年は奴隷、3年は人間、4年は神」
#3 「叫びながら10回敬礼しろ。何もできないくせに上級生ぶるな」
【防大生たちの叫び】
#1 適性のない学生と同室で…集団生活の“地獄”
#2 女子学生へのセクハラ、シャワー室の盗撮、窃盗事件…

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