「警察に連絡して保護してもらいました」

周囲の人たちはおしなべて穂坂家の母親は、子育てには向いていないと感じていたようだ。そして6月20日の深夜、母親はかつて暮らした垂水区の公団の近くで車いすでたたずんでいるところを「保護」されることになる。
第一発見者の60代男性が語る。

「その日は買い物に出かけてバスで帰ったのですが、バス停で降りて徒歩で帰宅中、路上に車いすに乗った女性がひとりでいることに気づきました。午後11時は過ぎていました。福祉センターやUR住宅が近くにありますが、街灯もわずかしかなくて暗いし、この時間にひとりで車いすでいるなんて普通には見えませんでした」

この第一発見者の男性によると、女性は白髪で70代くらいにしか見えなかったというが、後に報道で「57歳」と知って仰天したという。

母親が保護された現場(撮影/集英社オンライン)
母親が保護された現場(撮影/集英社オンライン)

「女性はつば広の帽子をかぶって半袖、膝丈くらいのスカートをはいていました。車いすの周りには青色のノート、ペット用のケージ、ペットボトルを入れるための布みたいのが散らばっていました。『こんなところにおったら危ないよ』と声をかけると、最初は反応が薄かったものの、何度か声をかけるうちに『大丈夫よ、家近いから』『昔あの辺に住んでいた』と言い出したんです」

近づいて目をこらすと、女性の目のまわりに殴られたような茶色い跡があった。

「家で暴力を振るわれたりしてるんかなって思いました。ほかに目立った外傷はありませんでしたが、女性は車いすから立ち上がろうとして、そのまま2、3歩踏み出すと膝から崩れ落ちて倒れてしまったんです。私が車いすを押して近づくと、女性は自分で座り直しました。散らばっていた物も拾おうかと申し出たのですが、『大丈夫』と自分で拾って膝の上に乗せていました。いずれにせよ放っておくわけにはいかないので、警察に連絡して保護してもらいました」

第一発見者によれば、女性は憔悴した様子ではあったものの、監禁された状態から命からがら逃げ出してきた、という雰囲気は感じられなかったという。
いびつな家族の間で何が起こっていたのか、捜査の進展が待たれる。

警察に通報した男性のスマートフォン(撮影/集英社オンライン)
警察に通報した男性のスマートフォン(撮影/集英社オンライン)
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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