内縁夫が「まず女性を助けてあげてくれ」と…

調べによると金子容疑者は20日午後7時45分ごろ、男性と娘を殺害しようとして自宅に火をつけて全焼させ、男性を殺害するなどした疑い。1階部分に灯油をまいてライターで火をつけたとみられる。

出火後は火の勢いが強く、消防が現場に到着するまでに近くの住人が複数で協力、ハシゴを使うなどして娘と金子容疑者を2階のベランダから救助する一幕もあったという。現場は真岡鉄道真岡駅の東約5キロの、田園と住宅の混在地域。

火災当日、救助にあたった近所の男性はこう振り返った。

全焼した金子容疑者の自宅(撮影/集英社オンライン)
全焼した金子容疑者の自宅(撮影/集英社オンライン)
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「火の手が上がっているのに気づいて近づくと、2階のベランダに60代の夫婦がいて、火事だというのに妙に冷静で、逃げようとしていなかったんです。どなたかが持ってきてくれたハシゴをかけてベランダまで登ると、男性(内縁夫)が『まず女性を助けてあげてくれ』と言うのですが、女性(娘)の方はその場でうずくまって逃げようとしないんです。

そうこうしているうちに、煙がすごい勢いで充満してきたので一度下に降り、煙が収まったところで再度助けに向かうと女性がベランダから少し身を乗り出していたので、引きずり下ろしました。男性の方は『うわー』という声とともに煙に巻かれて姿が見えなくなりました」

それからしばらく後、1階から金子容疑者がぼうぜんとして出てきたという。男性が続ける。

「おじいちゃんは足腰が弱くて普段は歩行器を押しながら歩いていたほどです。おとなしくて近所付き合いもないし、とてもあのおじいちゃんがこんな事件を起こすとは思えないのですが、 現場に来ていたレスキュー隊員の方に聞いたら、おじいちゃんは灯油臭かったそうです」

近所の人の話では、火事の1週間ほど前に娘夫婦がケンカをして内縁の夫が出ていき、その夫が帰ってきた当日に火災があったという。

「火災が起こる直前に、金子さんの娘夫婦と思われる男女の言い争う声が聞こえ、なにごとかと思って外に出たらもう2階から火の手が上がっていました」(隣家の男性)

全焼した金子容疑者の自宅(撮影/集英社オンライン)
全焼した金子容疑者の自宅(撮影/集英社オンライン)

金子容疑者は近くに本家があり、50年ほど前にこの住宅を建てて引っ越してきたという。近くに住む女性が語る。

「金子のおじいさんは元は左官職人で、娘も前に結婚していたんだけど、25年ぐらい前にその夫が亡くなったらしくてね。娘はこっちに戻ってきて、地元のゴルフカントリークラブの職員をしていて、そこで知り合ったのが今の内縁の夫。じいさんもそうだけど、去年亡くなった母親 が『私が生きてる間は、2人の結婚は認めない』と毛嫌いしていたみたい。母親 は名前で呼ばずに近所の人にも『居候』としか言わなかったね」