ソープランドの個室でオンライン授業
取材開始早々、未来さんから「大学生なので仕方がないです」と重い言葉を聞かされた。お金がかかる大学進学を選択したのは自分自身、だから風俗店に勤務してカラダを売るのは仕方がない、ということだ。
政府は緊縮財政の一環として「高等教育の受益者負担」の方針を推進している。その方針が弱冠20歳の女の子に自然と身に付いていたことになる。「今、大学は春休みなので週5~6日で出勤しています。14時から閉店の24時まで、ほぼ毎日。稼いだ金額は先月75万円、先々月は50万円くらいかな。
去年、お母さんに風俗していることがバレて実家を出て、今は一人暮らしです。親とは半分絶縁みたいな状態なので、学費のほかに生活費が必要になった。もう休みの期間中は限界まで働くしかないです。私立なので学費が年間110万円、残り2年間あって220万円必要で、時間があるときに働いて貯金したいってことでの鬼出勤です」
おそらく彼女が現役ソープ嬢とは誰も思わないだろう。大学では体育会系の部活に所属し、グローバルビジネスの研究をして、文武両道の学生生活を送っている。
大学の授業期間中は土日の部活帰りから閉店まで、休み期間中はほぼすべての時間を風俗店の個室で過ごしている。店から頼まれたときは授業期間中でも出勤し、ソープランドの個室でオンライン授業を受けることもある。
「最初は店舗型ヘルスで働きました。若い子だったら学園系とか、メイドさんのお店とかある。高校3年のとき、国立に落ちたら私立、私立に行ったら風俗やるって決めていました。それまでの男性経験は1人だけです。
経験はほとんどないけど、なんとかなるって自信はありましたね。実際にやってみて、キツイけど、やっぱりお金もらえるのがすごくうれしかった。精神的にもダメージのある仕事でしたけど、お金もらえるっていうのと、お金が貯まる、大学に行くことができるっていうのがすごい、私にとって幸せだった。だから続けています」
店舗型ヘルスでの収入は10分1000円単位。60分コースだったら6000円のバックだったという。すすきのの風俗店はそもそも全体的に客単価が高くないので、女性の報酬も安めに設定されている。未来さんは当事者なので風俗、ソープランド―とサラッと語っているが、実際はかなり厳しい仕事だ。